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X ーthe another storyー

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第三十八話 場所その十

「ですから」
「殺さないか」
「はい」
 そうだというのだ。
「他の天の龍も」
「そうだな、戦っても命までは奪わないでな」
 草薙も自分の考えを述べた。
「それでだ」
「戦いを終えたいですね」
「一人でも多く動ける奴が残っていればいいんだ」
 自分達の戦いはというのだ。
「だから別にな」
「天の龍の誰もですね」
「ああ、殺すことはないんだ」
 草薙は哪吒にも顔を向けて答えた。
「別にな」
「そうですね」
「だからな」
 さらに言うのだった。
「俺達もな」
「天の龍をですね」
「出来るだけな」
「命を奪わずにですね」
「勝てばいいんだ、それでだ」
 今度は封真に顔を戻して話した。
「封真もそうしてくれた」
「ええ、それであの娘は」
 封真は草薙の彼女への思い入れに気付いて言った。
「貴方にとっては」
「友達だよ」
 封真に微笑んで答えた。
「言うならな」
「そうですか」
「この東京でたまたま出会ってな」 
 そうしてというのだ。
「仲良くなったな」
「お友達ですか」
「おっと、別に変なことはしてねえぜ」
 草薙は咄嗟に誤解されると思って慌てた顔と声で言った。
「俺はな」
「いや、それはわかりますから」
「僕もです、草薙さんはそんな人ではありません」
 哪吒も言ってきた。
「とても」
「そうだな」
「はい、本当に」
「女の子には奥手なんだよ」
 自分からこのことを話した。
「だからな」
「それで、ですね」
「これまでも女の子の友達は多かったけれどな」
 それでもというのだ。
「交際ってのはな」
「なかったですか」
「そうした相手はいたさ」
 過去にというのだ。
「俺だって。けれどあの娘とはな」
「そうしたことはですか」
「ないさ、友達だよ」
 あくまでというのだ。
「本当にな」
「そうなんですね」
「いい娘だよ」 
 護刃についてこうも言った。
「あの娘は」
「そうですね」
「だからな」
 それでというのだ。
「封真が傷一つつけなくてな」
「よかったですね」
「ああ、この戦いが終わったら」
 やや斜め上を見て優しい顔と目で微笑んで話した。 
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