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X ーthe another storyー

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第三十六話 隻眼その五

「それでまたよ」
「それはよかった」
「いい時代になりましたね」
 征一狼もほっとした顔で言ってきた。
「怪我で見えなくなりましても」
「怪我次第でそうした手術を受けられてまた見えるからな」
「本当にです」
 神威にその顔のまま話した。
「いい時代になりました」
「そうだな」
「それで昴流君もです」
 彼もというのだ。
「順番が来ればです」
「まだだな」
「見える様になります」
「そうだな」 
 神威もそれはと答えた。
「いいことだ」
「左様ですね」
「本当にな」
「いや、失明しましたけど」
 空汰もほっとした顔だった、その顔で言うのだった。
「まだ見える様になるんはです」
「よかったな」
「ああ、そう思うしかないわ」 
 神威に対して答えた。
「わいもな」
「全くだな」
「不幸中の幸いかしら」
 嵐も言ってきた。
「これは」
「また見える様になるならな」
「本当にね」
「俺もほっとした」
「不幸中の幸いだと」
「本当にな」
「そうよね」
「後は退院されれば」
 護刃も言ってきた。
「昴流さんは戦いに戻られるんですね」
「そうなるな」
「よかったです」
「全くだ」
 神威は護刃にも応えて言った。
「そう思うしかない」
「私もです」
「だが」
 ここで神威はこうも言った。
「昴流さんも絶対にだ」
「これ以上傷付いてはいけないですね」
「そうだ」
 護刃に強い声で話した。
「もうな、出来ればな」
「無理はされないで欲しいです」
「二度と俺達の盾になる様なことはして欲しくない」
 心からの言葉だった。
「本当にな」
「はい、それ位なら」
「俺が盾になる」
「私もです」
「それも違うわ。盾になる必要はないわ」
 火煉が勝井を述べた二人に止める様に言ってきた。
「それもまたね」
「違うのか」
「そうなんですか」
「盾になるのではなくて支え合うのよ」
 そうすべきだというのだ。
「私達は」
「そうか、盾になるとな」
 そうなるということはとだ、神威は火煉の言うことがどういった意味か理解した、そのうえで述べた。 
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