会社をクビになっても
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第一章
会社をクビになっても
家に帰ってだ、とあるIT企業で働いている東浜流星は項垂れて自宅のマンションの部屋の中で言った、面長で落ち着いた顔立ちで黒髪をセットしている。背は一七四位で痩せている。
「いや、今日いきなり変な不始末の責任押し付けられてな」
「まさか」
「そのまさかだよ」
妻の茉莉華やや小さな目で穏やかな顔立ちに黒髪を方の長さで揃えた一五八位の背の均整の取れたスタイルの彼女に話した。
「クビだってな」
「言われたの」
「幸いまだ一ヶ月な」
「会社にいるのね」
「今日から席ないととか不当になるからだな」
夫はその辺りの事情を察して言った。
「幾ら何でもな」
「変な不始末の責任押し付けられても」
「ああ、ただ退職金もな」
「出ないのね」
「全く、だから今のうちにな」
「次の仕事探すのね」
「そうするよ」
妻に憮然として話した、そして早速だった。
東浜はまだ会社に残っていたが退社の準備を進めながらそのうえで次の仕事先を探していた、それは難航すると思ったが。
「八条モバイルからなの」
「ああ、前あそこの人と仕事したことあってな」
「あなたのことを聞いて」
「それでうちに来ないかってな」
その様にというのだ。
「スカウト来たよ」
「そうなの」
「それで会うよ」
妻に迷わない声で答えた。
「面接受けるよ」
「中途採用の」
「あそこはホワイトだし理不尽な話もないし」
「いい会社よね」
「だからな」
それでというのだ。
「今度行って来るよ」
「それで決まればいいわね」
「全くだな、秀幸も真央もな」
自分そっくりの中一の息子と妻そっくりの小五の妹も見て話した、二人は今はリビングで一緒にテレビを観ている。
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