Ｘ　ーｔｈｅ　ａｎｏｔｈｅｒ　ｓｔｏｒｙー

「成長なのよ」
「そうですか」
「そして断定出来ないことがあることもね」
　このこともというのだ。
「それもまたよ」
「成長ですか」
「そうよ」
　まさにというのだ。
「色々と知ることもね」
「じゃあ僕も」
「同じよ。貴方達は似ているのかもね」
　哪吒を見て微笑んで話した。
「まだまだ成長しているところはね」
「成長しているから」
「人間としてね」
「そうですね、しかしです」
　遊人は護刃と颯姫の闘いを観つつ言った。
「お二人の闘いは一方的かと思いました」
「颯姫が一方的に言って」
「それであの娘が追い詰められるとです」
　その様にといのだ。
「思っていましたが」
「そうはならなくて」
「想定外でした」
「そうなのね」
「僕が思っていたよりもです」
　遊人は庚にさらに言った。
「颯姫さんは成長しているということですね」
「私が言った通りでしょ」
「はい、若し僕達と合流した頃のままなら」
「人間は悪だとね」
「断言していましたね」
「そしてあの娘を一方的に攻めていたわ」
「その言葉で」
　それでというのだ。
「そうしていましたね」
「ええ、けれどね」
「成長して人間を知って」
「そうなったから」
　だからだというのだ。
「断言出来なくて」
「それで、ですね」
「あの娘ともね」
　護刃を見つつ話した。
「お話になっているわ」
「戦いながらの」
「そうよ」
「そして彼女もですね」
　遊人は今度は護刃を見て話した。
「おそらくです」
「天の龍の中にあってね」
「成長していますね」
「だから颯姫に言われてもね」
「受け答えが出来ていますね」
「そうだと思うわ。いいことよ」　
　庚は優しい笑顔になって述べた。
「二人にとってもね」
「そうですね、では」
「この戦いはね」
「見ていていいですね」
「このままね」
「あの、草薙さんですが」
　哪吒はこの場に一人だけいない彼を探した。
「今日はおられないですが」
「彼は当直よ」
「自衛隊のですか」
「そちらがあるから」
　だからだというのだ。
「今はこちらにはね」
「おられないのですか」
「お仕事があるなら」　
　それならというのだ。