夢幻水滸伝
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第三百十一話 陽動と侵攻その十四
「長居は無用やろ」
「はい、最早」
「そやからな」
「即座にですね」
「退いてな」
そうしてというのだ。
「空港でぐっすりや」
「休みますね」
「そうしてもらうわ」
「メルヴィル様、間もなく空港上空です」
傍を飛ぶ飛兵の一人が言ってきた。
「それではですね」
「ああ、これよりや」
メルヴィルはその兵翼人の彼に答えた。
「爆撃や」
「行いますね」
「その間自分等飛兵は護衛や」
「爆撃隊の」
「流石に敵はそう来んと思うが」
見れば気配はない、やはり敵軍の航空機は夜に飛べないのだと考えていた。
「しかしな」
「それでもですね」
「飛兵位は来るかも知れん」
「彼等から爆撃隊を守りますね」
「そうするで、ええな」
「わかりました」
兵士はメルヴィルの言葉に頷いた。
「それではです」
「護衛頼むで」
「わかりました」
「全機爆撃開始や」
メルヴィルは今度は爆撃隊に命令を出した。
「ええな」
「了解」
爆撃機の機長達が通信で答えた。
「それではです」
「これよりです」
「爆撃や、爆弾を全部落としたらな」
メルヴィルはその後のことも話した。
「反転してや」
「帰りますね」
「そうしますね」
「全速力でな、ええな」
「わかりました」
「そうします」
機長達も応えた、そしてだった。
各機攻撃目標上空に至ると爆弾を落とした、機体の腹が開きそこから無数の爆弾が落下する。
夜の雨の中下に無数の炎と爆発が見えた、メルヴィルはそれを確認してから言った。
「作戦成功や」
「はい、空港が火の海になっています」
グリフォンも舌を見て言った。
「他の空港もです」
「今攻撃を受けてるな」
「ですから」
それでというのだ。
「作戦はです」
「成功したな」
「はい、それではですね」
「もう長居は無用や」
「左様ですね」
「飛兵はそれぞれ爆撃機に入ってな」
爆弾を投下して身軽になった彼等の中にというのだ。
「それでや」
「いざという時は出て戦いますが」
「全速力で飛ぶ航空機と共にや」
「撤収ですね」
「そや、全軍右旋回や」
飛兵達を収容してからというのだ。
「ええな」
「わかりました、それでは」
「帰るで」
こう言ってだった。
メルヴィルは爆撃機達の中に飛兵達を収容させてだった。
そのうえで全機帰投させた、翌朝五大湖側のゲーリ周辺の全ての空港が破壊されかつ航空機の殆どが破壊されたとの報告に彼はにやりと笑った。
第三百十一話 完
2023・6・23
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