Ｘ　ーｔｈｅ　ａｎｏｔｈｅｒ　ｓｔｏｒｙー

「今は」
「そうですか」
「ですから僕は」
「どうでしょうか、昴流君が思っている運命とです」
　星史郎はまだ言おうとする昴流に彼の言葉を遮る様にして言った、それでも顔特に目は笑ったままである。
「実際の運命は違うかも知れないですよ」
「そう言われますか」
「それに運命は変わりますね」
　このことも言うのだった。
「そのことは昴流君もご存知ですね」
「はい」
　昴流も否定しなかった。
「そうですね」
「ですから彼女は生きているのですよ」
「小鳥さんですか」
「はい、お会いしたことはないですがよかったですね」　
　小鳥についてこうも言った。
「生きて彼と共にいて」
「神威君と」
「心からよかったと思っています」
　今度は神威を見て話した。
「まことに」
「そうですか」
「そして今お話した通り運命は変わるので」
「だからですか」
「昴流君もです」
　彼もというのだ。
「どうなるかはです」
「まだわからないですか」
「まだ何も決まっていない」　
　星史郎はこの言葉も出した。
「そういうことですね」
「だから僕も」
「そうですよ、そして昴流君は僕と違います」
「星史郎さんと」
「そのうえで人生を歩まれて下さい」
　優しさ、それに満ちた言葉だった。
「まことに」
「ですが僕は」
「昴流君は昴流君ですよ」
　また彼の言葉を遮る様にして言った。
「そういうことです、では」
「これで、ですか」
「今はお別れです、またお会いしましょう」
　こう言ってだった。
　星史郎は封真を促して彼と共にだった。
　レインボーブリッジを後にした、すると昴流達も下がるしかなく玳透と共にその場を後にした。そうしてだった。
　議事堂に戻るとそこにいた丁が目を閉じて言ってきた。
「皆さん戻って来てよかったです」
「ああ、しかしだ」
　神威はその丁に言った。
「俺は」
「彼とですか」
「戦ってだ」
　そのうえでというのだ。
「あいつを連れ戻したかった、封真を」
「ですがあの時戦えば」
　丁は自分に話す神威に言葉を返した。
「誰かが命を落としていました」
「夢見で見たのか」
「ですから」
「玳透にか」
「行ってもらいました」
　その彼に顔を向けて話した。
「わららの傍から離れてもらって」
「そうか」
「そして助かって何よりです」
「戦いは何があるかわかりません」　
　神威の横にいる昴流が言ってきた。
「そして夢見で」
「見えました」
　そうだったというのだ。