幽霊は本当にいる
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第二章
「幽霊かしら」
「そうじゃない?前にひたすら行って」
「何処かに行くみたいだけれど」
「あれって」
「ひょっとして」
直美は考える顔になって言った。
「魂が身体から出て」
「お亡くなりになったかで」
「見たらかなりご高齢みたいだし」
「魂があの世に行く途中かしら」
「そうじゃないかしら、何か」
あらためてだ、直美は言った。
「前だけを見てるし」
「他に何も見てなくて」
「それで飛んでるし」
「お身体透けてるんじゃ」
「普通の人間じゃないわ、あれは」
直美は今度は確信を以て言った。
「幽霊ね」
「そうね」
「間違いないわね」
「あの人は」
「本当にいたのね」
幽霊はとだ、直美は確信の言葉を出した。
「この世に」
「そうみたいね」
「直美いないと思ってたけれど」
「いたのね」
「この目で見たから」
だからだというのだった。
「言えるわ、幽霊はね」
「いるわね」
「本当に」
「間違いなく」
「ええ、そうよ」
その老婆、空を前を向いたまま歩いて行き何処かへと消えていった彼女を見て同僚達に言った。そうしてだった。
以後直美は幽霊はいる自分はこの目で見たと言う様になった、そし後日ある本で読んだことを同僚達に話した。
「幽霊は魂が身体から出ただけで」
「人間ね」
「ただ身体がないだけの」
「それね」
「そうみたいよ、人間の幽霊の違いはね」
それはというと。
「身体があるかないかよ」
「それだけね」
「それだけの違いね」
「大して変わらないのね」
「そうみたいね」
こう言うのだった、そしてだった。
直美はそこから何かと考える様になった、そうなった理由はこの目で見たからだとここでも言うのだった。
幽霊は本当にいる 完
2023・8・23
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