仮面ライダーカブト 明日のその先へ
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第三十九章
「それがこのキュリオスなのだ」
「その力でワームを創り出し今度の戦いを操ってきた」
「その通りだ。さっき言ったようにな」
「貴様を倒せば今回の戦いは終わる。ならば」
左腰のクロックアップにスイッチを入れる。そうしてハイパーカブトになった。
「ハイパーキャストオフ」
電子音が告げられてハイパーカブトとして姿を見せる。彼は遂に本気を出してきたのだ。
「最初からハイパーカブトになるとはな」
「俺は相手の力量を見極める」
天道はキュリオスに対して告げる。
「そのうえでのことだ。この戦いもまた」
「私と闘う為にだな」
「御前との戦いに全てを賭ける。いいな」
「いいだろう、ではその力を見せてみるのだ、人間よ」
「行くぞ」
迷いはしなかった。すぐに切り札を切る。
「ハイパークロックアップ」
「ハイパークロックアップ」
電子音と共に動きキュリオスとの激しい攻防に入る。キュリオスのスピードだけでなく攻撃力も圧倒的であった。拳の一撃一撃がハイパーカブトを以ってしても耐え難いまでに衝撃を加えてきていたのである。
しかし天道はそれに耐えている。耐えながら彼も反撃を加えてきていた。
「ほう」
キュリオスはその拳を受ける。拳を受けたうえで笑ってきた。
「ワーム達を倒しただけはある。見事なものだ」
「俺に褒め言葉は意味がない」
言葉の色を全く変えずに返す。
「それもわかっている筈だ」
「そうだな。では私も切り札を出そう」
「御前の力をか」
「そうだ。これこそが主の力」
腕に巨大な剣を出してきた。それこそがキュリオス、即ち主の剣であった。
「これで苦しまずに死なせてやろう」
「そうか。それならば」
天道も決着の時が来たのを悟っていた。最後の力を今出す。
「フルスロットル」
「フルスロットル」
全てのゼクターがやって来た。出された剣にその全てが集まる。
「ザビーゼクターセットオン」
「サソードゼクターセットオン」
「ドレイクセクターセットオン」
「パンチゼクターセットオン」
「キックゼクターセットオン」
「コーカサスゼクターセットオン」
「ケタロスゼクターセットオン」
「ヘラクスゼクターセットオン」
「ダークカブトセットオン」
「ガタックゼクターセットオン」
全てのゼクターが剣に備わる。そうして今パーフェクトモードになった。
「オールゼクターコンバイン」
「パーフェクトモード」
「一撃で決める」
その剣を構えて言う。一陣の風が天道とキュリオスの前を舞う。それはまるで最後の戦いの前の清めの風のようであった。
「貴様との戦いはこれで」
「ふふふ、ならばこちらもだ」
キュリオスも剣を構える。両者は睨み合い力を溜める。
天道は全ての力を放ってきた。渾身の力で光の刃を放った。
「マキシマムハイパータイフーーーン」
キュリオスもまた刃を放つ。それは闇の刃であった。光と闇が撃ち合いせめぎ合う。
やがて光が押される。キュリオスはそれを見て笑ってきた。
「私の勝ちだな」
「それはどうかな」
しかし天道は己の光が押されていようとも動じてはいなかった。
「御前の闇はただの闇だ。しかし俺の光は」
「その光は!?」
「闇をも含む光、闇を知る光の前には」
その言葉と共に天道の光がキュリオスの闇を押してきた。
「ただの闇は勝てはしない。見ろ」
「むっ!?」
キュリオスの闇が完全に劣勢になった。そして。
「俺の勝利だ。人間のな」
「うおおおおっ!」
闇が吹き飛ばされキュリオスもまた吹き飛ばされた。天道の最後の必殺技が見事キュリオスを退けたのであった。
キュリオスは空中で光に襲われその中で激しいダメージを受ける。地に落ちたその時には満身創痍で立ってはいられない程であった。荒れた地面にうつ伏せになって呻いていた。
「ぐううう・・・・・・」
「最早立つこともできまい」
天道は止めをさすわけでもなくそこから一歩も動かずにキュリオスに言ってきた。
「そうだな、スサノオよ」
「そうだ、今回は私の負けだ」
キュリオスもそれを認めてきた。
「見事だ。褒めてやろう」
「さっき言ったな、褒め言葉は俺には不要だと」
「ふふふ、そうだったな」
その言葉に笑って返した。
「貴様に対してはな」
「そうだ。最後に言い残すことはあるか?」
「そうだな、一つ聞きたいことがある」
キュリオスはそれに応えて天道に問うてきた。
「ネイティブの女王、日下部ひよりは何処にいたのだ」
「ここだ」
天道はそう告げてきた。
「ここだと!?」
「そうだ、ひより」
天道はひよりを呼んできた。
「何っ、ここにいるというのか」
「その通りだ」
そうキュリオスに告げる。
「灯台下暗しという言葉があるな」
「貴様、それを狙って」
「まさか自分のすぐ側にいるとは思わなかっただろう」
シシラーワームの姿のひよりが姿を現わした。そうして天道の側までやって来た。
「敵の虚を衝く、戦いの基本だ」
「成程、全ては貴様の手のうちにあったというのだったな」
それを聞いて頷いたようにして述べてきた。
「この私をそこまで手玉に取るとはな。流石と言ったところか」
「それは俺だけに対しての言葉か?」
「いや」
キュリオスはそれを否定した。そうではないと述べるのだった。
「人間そのものがな。人間との戦いはだからこそ楽しい」
「楽しいか」
キュリオスを見据える。その目には憎しみも怒りも特にない。あくまでただ見ているだけであった。強いて言うならばその心を見抜こうとしていた。
「無限の闇の中に比べればな。どれだけいいか」
「そうか。ではまだ諦めないのだな」
「無論だ。それでは天道総司、仮面ライダー達よ」
天道だけでなく全てのライダー達に告げる。
「また会おう。楽しみにしている」
爆発の中に消えた。爆風はそのまま天道とひよりを撃った。しかしそれで終わりだった。ワームとの戦いはこれで終わりだった。
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