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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第二十二章

「ここにいる以外にも仮面ライダーがいるんですね」
 志村が天道に尋ねる。
「そのオルフェノクやアンデッドとの戦いを経てきたライダーも」
「乾達か」
 剣崎がその言葉に応えた。
「そうだろうな。あいつ等もきっと何処かで」
「何か凄いですね」
 禍木はそれを聞いて自分達が考えていたよりもずっと大きなものがあるのを知った。そのことが衝撃でさえあった。
「皆戦ってるなんて」
「ワームはここにいるだけじゃないのよね」
 岬が彼に応える形で言ってきた。
「あちこちにいたから」
「その通りだ」
 矢車も言う。
「俺はゼクトを去った後一人ワームと戦っていた。キックホッパーと出会ってな」
「キックホッパーを矢車さんに渡したのは」
「そういえば」
 それもまた謎であった。風間が持っているのもだ。
「あれは選ばれたんだ」
「選ばれた」
「そうだ、それぞれのゼクターにな」
 田所が彼に言う。
「御前達はそういう運命だったんだ。あのゼクターは皆ゼクトが開発したものだ」
「ゼクターは意志を持っているんでしたよね」
 大和がふと声を出してきた。
「そうだったな」
 織田がそれに頷く。
「そうだ。自分で主を選ぶ。ザビーと同じだ」
「私達もそれは同じ」
 黒崎が呟く。
「そういうことだ。ゼクターが資格者を選ぶ。御前も影山もそうだった」
「だからか。俺が一人で戦えたのも」
 矢車は今ようやく自分の戦いがわかってきた。
「何かとんでもないものがあったんですね、ゼクトって」
 影山も今やっと知った。事実が今次々に明らかになってきていた。
「それにライダーがそんなにいるなんて」
「首領が全ての黒幕だったってわけか」
 加賀美も今その真実を心で噛み締める。
「俺達の戦いはその首領を倒さないと終わらないんだな」
「カッガーミ、覚悟はできているようだな」
 神代が彼に問うてきた。
「君もまた」
「御前もそれは同じなんだよな」
 加賀美は彼に問い返す。
「やっぱり」
「当然だ。俺も仮面ライダーならば人の為に戦う」
 その心は常にある。神代はその基本となる心は備わっている男であった。
「それが俺のノブリス=オブリージュだ」
「お見事です」
 爺やがその言葉を聞いて頭を垂れていた。
「坊ちゃま、また一つおわかりになられましたな」
「うむ、俺は二度蘇って様々なことを知った」
 神代も満足した顔で述べる。
「俺は知ることにおいても頂点を極める男のようだな」
「知ってもまだ知り過ぎるということはない」
 天道は神代だけでなく全員に述べた。見れば彼は店の中の中央に傲然とした感じで座っている。他のライダー達がそれを取り囲み厨房にひよりがいた。その中で話が行われていたのだ。
「おそらく首領はワームとネイティブで終わりではない」
「そうだな」
 橘が彼のその言葉に頷く。パスタをかなり乱暴に食べている。向かい側にいる剣崎も見ればかなり乱暴な食べ方である。貪るといった感じだ。
「オルフェノクとアンデッドだけではなかったのだからな」
「俺を創ったのも首領だったしな」
「奴は楽しんでいる」
 天道の言葉だった。
「楽しんでいる!?」
 ライダー達はその言葉に顔を向けてきた。首領、スサノオという存在の不可思議さの一旦をも見たような気になったからだ。
「全てのライダー達の前に立ちはだかってきた」
「全ての」
「何度も敗れてもだ。首領はその無限の力を人間に向けてきている」
 天道は語る。彼は己の考えを述べているだけだが首領という不可思議な存在についてかなり突っ込んだ話になっていた。だがそれが全てではないのもまたわかっていた。首領はあまりにも大きく。全てが見えなかったのだ。
 
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