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八条学園騒動記

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第七百八話 連合の狼その三

「よく学ばれてな」
「そうしてですか」
「元々はキリスト教以外の宗教の神々や天使だったことがだ」
 即ちキリスト教の神に敵対したり反逆した者達だったというのだ。
「わかってな」
「それで、ですね」
「決して悪とはな」
「思われなくなっていますね」
「カトリックの教義でもだ」
 言わずと知れたキリスト教最大勢力の宗派でもというのだ。
「今は悪魔でもな」
「悪意ある存在をですね」
「神の敵だと言ってな」
「普通に何もしないなら」
「特にだ」
 悪魔と言われる存在でもというのだ。
「批判も否定もしない」
「そうなっていますね」
「それで連合では童話でもな」
「悪魔は悪役ではないですね」
「そうなっていてだ」 
「狼も然りで」
「特に日本の童話ではな」
 昔からのそれではというのだ。
「全くと言っていい位な」
「狼は悪役ではないですね」
「妖怪として出る場合はあるが」
「非常に少ないですね」
「狐や狸が殆どだ」
 妖怪として出る生きものはというのだ。
「変化と言われてな」
「出て来ますが」
「狐や狸が悪戯でだ」
 それを目的としてというのだ。
「出て来てな」
「化かしますね」
「しかしばれてだ」
 その悪戯がだ。
「懲らしめられる」
「そうした展開が多いですね」
「まことに狼はな」
「悪役ではないですね」
「それでだ」
 そのうえでというのだ。
「大きな神とさえだ」
「言われて」
「かえって崇拝されている」
「そうですね」
「尚狐や狸にしてもな」
 悪役として出る彼等もというのだ。
「神になっている場合もだ」
「ありますね」
「稲荷明神がそれだ」
「まさに狐の神様ですね」
「そして狸もな」
「神になっていたりします」
「そうだしな、そして狼はな」
 あらためてこの生きものの話をした、他ならぬその狼を見つつ。
「畑を荒らす獣を食べてくれる」
「有り難い生きものですね」
「それで悪感情はなくな」
 その為にというのだ。
「この様にな」
「番犬にもですか」
「している」
「そうですか」
「連合では結構あることだ」
「狼を飼い慣らしてですね」
「餌付けをして訓練を施してな」 
 そうしてというのだ。
「家畜としてな」
「番犬にして」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「牧羊犬ならぬ牧羊狼にすることはな」
「結構ありますか」
「他には狩猟にも使う」
 こちらの仕事もさせるというのだ。 
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