狼達への優しさ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「そうしています」
「そうですね」
「私達もそうしていますが」
「はい、愛情を以て接して」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「保護してそうして」
「家族も探していますね」
「自然に戻したりしています」
こう二人に話した、そして。
大きな雄の黒い狼を紹介してだ、夫婦に話した。
「この子、トラブルといいますが」
「この子ともですね」
「信頼関係を築かれていますね」
「狼犬で母親それに弟と一緒に保護されまして」
そうしてというのだ。
「私はこの子ともです」
「信頼関係をですね」
「築かれていますか」
「優しくて大人しい」
「ワフゥ」
トラブルの親し気な鳴き声と尻尾をぱたぱたを振るのを見つつ話した。
「柔らかい子です」
「そうなのですね」
「その性格もわかりましたね」
「狼も狼犬も確かに保護や飼育は難しいです」
このことはどうしてもというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「わかりますね」
「態度に素直に出ますから」
信頼関係を築けたらというのだ。
「尻尾を振って親しく接してくれるので」
「わかりますよね」
「そうして確かめながらです」
信頼関係をというのだ。
「活動しています」
「そうですね、私達もです」
「そのことは同じです」
夫婦はハナフィンに笑顔で応えた。
「ではお互いにです」
「これからも頑張っていきましょう」
「狼と狼犬達の為に」
ハナフィンも応えた、そうしてだった。
施設の狼それに狼犬達を観ながら彼等のことを話していった、そしてお互いに彼等の為に頑張って行こうと誓い合うのだった。
事実カルフォルニアに戻ったスター夫妻もハナフィンも活動に励んでいった、そして多くの狼や狼犬を助けていった。常に彼等への慈しみを心に持って。
狼達への優しさ 完
2023・7・17
ページ上へ戻る