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シュレディンガーの鼠

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第一章

                シュレディンガーの鼠
 日本のある大学でだ、この大学で量子力学の教授を務めている外古場雄大は学生達に対して実験を見せていた。
「今回はシュレディンガーの猫のです」
「あの実験ですね」
「それを行うんですね」
「これから」
「はい、放射性元素が入った密閉した鋼鉄の箱の中にです」
 実際にそうした箱を出して話した。
「鼠を入れます」
「猫ではなくですね」
「実験だから鼠ですね」
「それを使いますね」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「箱の中に一時間入れますが」
「一時間当たりの放射性元素の崩壊率は五十パーセント」
「それだけですね」
「ガイガー計算管が原子崩壊を察すると電気的に鼠が殺される」
「その仕掛けにしますね」
「その実験によってです」
 教授はさらに話した、白髪頭を左で分けていて四角い眼鏡をかけている。面長の顔で目が大きく背は一七〇程で痩せていて白衣が似合っている。
「原子の状態とはです」
「放射能を出した状態と出していない状態ですね」
「その二つの状態の五十パーセントずつにが重ね合わさり」
「それによって表れてですね」
「箱の中の状態は」
「放射能が放出されて猫が死ぬ、されなくて生きるか」 
 この二つのというのだ。
「五十パーセントの重ね合わせの状態です」
「左様ですね」
「箱の中をげんzち開けて確認するまで生きている状態と死んでいる状態が同時にあります」
「これが現実を記述するとすればです」
「巨視的な観測をする場合についてはですね」
「明確に区分して認識される巨視的な諸状態においては」
「観測されていなくても区分される」
「その状態見分けの原理と矛盾しますね」
「それで、です」
 教授はさらに話した。
「量子力学的記述は未完成である」
「それを証明する実験ですね」
「所謂シュレディガーの猫の実験は」
「そうですね」
「そうです、今からその実験を行います」
 教授は学生達に話した。
「ただ今回の実験は実験なので鼠で時間の短縮の為にです」
「一時間ではないですか」
「原子崩壊が起これば」
「その時にですね」
「電気が流れて鼠は死にます、ではその実験をはじめます」
 こう言ってだ、教授は白い鼠実験用のマウスを箱に入れて原子を五十パーセントの確率で崩壊させるボタンを押した、そして一分経ってだ。
 箱から鼠を出すと生きていた、ここで教授はまた言った。 
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