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新オズのリンキティンク

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第五幕その十

「育ちで住んでるとこはな」
「大阪であったか」
「あそこでな、ほんま最高の街や」
 リンキティンク王に笑って言うのでした。
「そやから今もや」
「オズの国に来てもか」
「ここにおるんや」
「そうなのじゃな」
「わしは最初はお笑いやっててや」
 外の世界にいた頃はというのです。
「それで俳優もやってた」
「そうであったか」
「同心やったり刑事やってたわ」
「色々やっておったか」
「大阪に住みながらな」
 そのうえでというのです。
「やってたわ」
「成程のう」
「それで今はお笑いに戻ってる」 
 この街ではというのです。
「歌も歌うで」
「多芸じゃのう」
「そやろか、あとや」
「あと?」
「わしの名前は知らんか」
「初対面じゃからのう」
 それでと言うのでした。
「知らぬわ」
「そうやな、わしは藤田まことっちゅうんや」
「そうなのか」
「それでさっきの人は横山やすしっていうんや」
 その人の名前もお話します。
「まあ生きてた頃は色々あった人やが」
「今はか」
「オズの国で楽しくやってるわ」
「それは何よりじゃな」
「また二人で漫才やるやろ」
 この人は笑ってこうも言いました。
「わしもお笑いやってるしな」
「今はじゃな」
「そっちに戻ってな、しかしな」
 ここでこうも言ったのでした、笑って。
「ところてんはこの街に限るわ」
「あの甘いものじゃな」
「そや、あれ他の日本の街やとちゃうで」
「わしはこの街のところてんしか知らんぞ」
「そうなんか、それがな」 
 リンキティンク王の言葉を受けてお話しました。
「他の街やと酢をかけて食べるんや」
「ところてんにか」
「そうなんや」
「いや、ところてんには黒蜜じゃ」
 リンキティンク王は言いました。
「それで葛にもじゃ」
「それはこの街でのことでや」
「他の日本の街では違うのか」
「外の世界で言う関西やとそやけどな」
 黒蜜で食べるがというのです。
「それがや」
「日本の他の地域ではか」
「そうなってるんや」
「ううむ、ところてんを酢で食うか」
「それでわしも知らんでな」
 それでというのです。
「そのところてん食うてびっくりしたわ」
「味が違ってか」
「腐ってるって思ったわ」
 笑ってこう言うのでした。
「ほんまな」
「うむ、蜜と酢では全く違う」
 リンキティンク王も頷きます。 
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