トイレはちゃんと造る
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第一章
トイレはちゃんと造る
家を建てる時にだ、妻の福島真礼はサラリーマンをしている夫の俊二に言った。大きな目で波の形をした赤い唇で色白であやや面長だ。背は一五五位で黒髪をロングにしていて均整の取れたスタイルをしている。
「おトイレはウォシュレットで子供もちゃんとね」
「使える様にか」
「しましょう、お家建てるところまだ汲み取りもあるのよね」
「そうらしいな」
夫もそれはと応えた、長方形の顔で黒い髪は短く優しい感じの目で広い唇は薄い。背は一七二位で痩せている。
「あそこは」
「絶対に水洗にして」
トイレはというのだ。
「ウォシュレットもね」
「付けるんだな」
「そうしましょう」
生まれたばかりの娘の澄子を見て話した、顔立ちは母そっくりである。
「絶対に」
「また随分こだわるな」
夫は妻に言った。
「おトイレに」
「だってね」
妻は夫に真剣な顔で答えた。
「汲み取りだと落ちるでしょ」
「ああ、その危険があるな」
夫もそれはと応えた。
「子供だと」
「そうでしょ」
「若し落ちたらな」
「大変でしょ」
「本当にな」
「だからね」
それでというのだ。
「いいわね」
「おトイレはか」
「ちゃんとしないと。昔は汲み取りばかりでね」
下水道がなかった頃はというのだ。
「今はあるんだし」
「あるならか」
「いいものにしないと駄目でしょ」
「安全なものだな」
「そう、娘の為にもね」
「そうだな、そうしよう」
夫は妻の言葉に頷いた、そうしてだった。
実際に家を建てる時は下水道もちゃんとしてウォシュレットも付けた、そうしてトイレは安全でだった。
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