お婆さん熊の幸せ
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第二章
「うちが運営している保護施設に入ってもらうよ」
「自然公園みたいなあそこで、ですね」
「ああ、そうしてもらうからな」
「わかりました」
ゴスリコフは先輩の言葉に頷いた、そうしてだった。
チャダも他の生きもの達もサーカス団からその施設に送った、そこで静かに暮らしてもらうことになったが。
チャダは二つのサーカス団にいた合わせておよそ二十年の間とは嘘の様になった。
くつろぎのどかに暮らし他の生きもの達と売れ合っていた、ご飯を充分に食べて他の熊や狼達とだった。
「ガウ」
「ガウガウ」
一緒にご飯を食べたり遊んだり寄り添い合って寝ていた、そんな彼女を見てだった。
ゴスリコフは先輩に笑顔で話した。
「元気になって」
「幸せそうだな」
「そうですね」
「そうなってな」
それでというのだった。
「よかったな」
「全くですね」
「酷い目に遭ってきたな」
チャダそして他の生きもの達もというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「これからはな」
「チャダも他の子達もですね」
「ここで幸せに過ごしてもらう、そうさせることがな」
「僕達の務めですね」
「そうだ、じゃあ俺達のやることをな」
先輩はゴスリコフに強い顔と声で言った。
「今日もやっていくぞ」
「この子達の世話をして」
「大変な状況の子供達を保護するぞ」
「わかりました」
ゴスリコフは先輩の言葉に頷いた、そうしてだった。
この日も働いていった、それが生きものの幸せになることがわかっているので。笑顔で明るく働いていくのだった。
お婆さん熊の幸せ 完
2023・5・16
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