複写眼保持者は世界最強
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第1話
僕の名前は南雲ハジメ(17)、南陽高校二年生の平凡な学生だ。家族構成は母が人気少女漫画家、父が中堅のゲーム会社の社長兼クリエイター、僕を含めた三人構成。両親は趣味を実益としているので生粋のオタクでその二人から生まれた、そんな環境で育てられた僕はオタクだ。両親の英才教育(職場経験・社会経験)によって、今現在は現場の即戦力となっていて将来設計はバッチリだ。
ここまで聞けば既に社会性と現場経験があり、ゲームクリエイターと漫画家のスキルが一通り揃っていて、高校も学歴を得るために通学しているに過ぎないのだが、自分には秘密がある両親にも隠している秘密が、僕が6歳くらいのときのことだ悪夢を見るようになった、現代ではない中世風の剣と魔法がある異世界の夢、自分ではない誰かの人生の一部を追体験するような明晰夢を見るのだ。それも一人分ではない多人数の人生だ、そんな体験を何度もしている。
そういった悪夢を初めて見た後、眼が熱くなった家の鏡をで自分の瞳を集中して覗き込んだら五芒星の魔法陣が薄っすらと浮かんでいるのだ。これを見たら中二病が珍しくない子供ならばカッコいいと喜び周囲に自慢したのだろうが、そういう気にはなれ全くなれなかったのだ。だってこの特異な眼は悪夢に出てきた《複写眼(アルファ・スティグマ)》という名の魔眼でこれに開眼した人間は化け物と蔑まれ駆除されたり、捕獲され軍の研究材料にされ殺されたり、生き残っても生物兵器や《隠成師》と呼ばれる戦場の悪魔・死神と恐れられる最精鋭部隊《魔法騎士団》の暗殺集団版と言ってもいい暗殺組織の暗殺者として育成されたりとロクでもないものだったのだ。事故・戦争・仕事(暗殺)・殺処分以外の方法で死ぬこともあるのだけど。正確にはわからなかった。多分、自暴自棄になって周囲を道連れにしようとして暴れまわった結果、力尽きたのだろうけど。
こんなロクでもない魔眼に覚醒してから良いことや夢が叶ったことがある。魔眼を開眼している時は魔素・精霊・オーラ・気・と呼ばれるエネルギーの粒子が視認できるようになったこと、大気中の構成が数値やグラフとなって視認できるようになったこと、夢の世界で見た魔法が使えるようになったこと、ゲームクリエイターのプログラミングに滅法強くなった事、記憶力・勉強・運動が異常に強くなったこと、プログラミングや小説作成でのタイピングが神速で出来るようになったこと、精緻な描写となるイラストや漫画の製作がまるで高速のプリンターの如く速くなったことである。
普通の《複写眼》ならば夢世界でも魔法を視認すれば使えるのは不思議ではないが、身体能力と戦闘技術、戦闘経験まで付いてきているのは、おそらく他の魔眼保持者たちの人生の一部を追体験したのが原因だろうか《殲滅眼》《夢置眼》《未来眼》等の魔眼保持者の劣化版・模倣も使えるようになったのだ。漫画の《見聞色の覇気》のような、未来予知や未来予測等ができるようになったり、寝ていれば誰かの夢を見てそれを自身の経験値(魂の記憶・魂の欠片)にして寝て強くなったり、一度の食事でしばらくは飲まず食わずでも平気で動き回れたり、傷の治りや回復が異常に速くなったり、身体能力が夢の中の猛者たち並みに上がった。
身体能力と自然回復治癒再生力、格闘センスの飛躍的な向上の原因は《殲滅眼》の夢のおかげだろう。食事も魔法を自分に向けて使えば魔法を吸収して腹を満たすことが出来るし、傷を治したり、成長を促してくれる。本物の殲滅眼保持者ならば眼が精霊の位置をズラして魔法構築と発動の邪魔をしてほとんど使えなくなるのだが、自分のはそれの劣化版の為、殲滅眼能力の「ON/OFF」と「強弱」を自由自在にコントロールができる。未来眼も寿命が削れないように負担を最小限にして戦闘に応用が利く形で使えるので、正直オリジナルよりも十全に魔眼能力を使いこなしている気がする。これは強すぎるの能力はコントロールが効かないが、劣化させるとコントロールが効利きやすくなるような理屈なのかな?《夢置眼》は《殲滅眼》の能力と混合することでRPGの経験値獲得によるレベリングみたいに寝て夢を見るだけで経験を獲得して自身を成長させる《睡眠強化》という風になってしまった。
色々な魔眼能力の混合のせいなのか、僕の複写眼は通常の者とは異なり朱色の輝くのではなく、虹色に明滅するのである。虹色に明滅する目は夢には存在しなったので、僕の目は複写眼ではないかもしれないけど。見た目は完全にそれなので取り敢えず複写眼ということにした。
普通、幼い子供が超人的な能力に覚醒すれば承認欲求・玩具を自慢したくなる気持ちが異常に強くなるのだが、悪夢を見たおかげで心身ともに成長し能力をひけらかすような真似はしなかった、というかそれをすれば平穏無事な人生が終了することは確定なので絶対してはいけなかった。
だけど、そんな平穏な日々は彼女とその幼馴染たちと出会って脆くも崩れ去ったのだ・・・。
高校に入学してから異常なまでに容姿が整った美少女に頻繁に構われるようになったのだ。名前は白崎香織、彼女は後に学園のアイドル・学園の二大女神と呼ばれる。彼女に構われるようになってから僕の平穏無事な人生は少しずつ崩れていった・・・。
僕は見た目が平凡で仕事と趣味を両立させているため眠い頭で学校はいつもギリギリに登校し授業はほとんど眠っている。その癖、成績は平均以上を維持している。本気を出せばいつでもトップに成れるが、なったらなったで面倒事になる、彼女の幼馴染で学園の完璧超人とか言われているキラキラネームのヒーローの標的にされかねないのである。彼女に頻繫に構われているせいで半分以上手遅れな気もするが学校ではこれ位以上の面倒事は勘弁願いたいけど・・・。そうはうまくいかないか・・・。
彼女と出会って一年が経ち、僕に対するヘイトが凄いことになっている。平凡男子の僕が学園の女神を独占している姿が気に入らないのか嫉妬を越えて怨念を感じるのだ・・・。学校で眠るときうっかり《夢置眼》の劣化能力が発動してしまい周囲の僕に足しての思念を受信し夢として見せてくるのだ。その能力のせいで嫌でも自身が置かれている状況を把握してしまう。しょっちゅう僕に絡んでくる檜山などの男子生徒が仮に襲いかかって来ても逃げ切るどころか返り討ちにできる自信はある。あるけど、それをすれば向こうは数を揃えてくるかもしれないし、手段を選ばなくなって暴走するかもしれないため、向こうが暴力に訴えてくるようになったのならば非暴力で耐えるか回避して全力逃走しようと考えている。
後書き
『異世界かるてっと(慎重勇者とこのすば、オバロ)』の挿絵の一つが『伝勇伝』の挿絵の人と同じだったので伝勇伝とこのすばのコラボも悩んでいます。『伝勇伝』の異能者【先天性魔導異常者】と【紅魔族】と水色と紅色の違いで似ている気がします。人の話を聞かない暴走する、強大な魔力はあるけど(上級魔法しか習得しない為もあるが・・・)制御が下手が共通します。ライナとカズマ、挿絵つながりでロクアカのグレン先生はロクでなしやニート、オタクでは共通しますよね。
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