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私の 辛かった気持ちもわかってよー

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1-5

 村沢君と約束していた日、私は朝からお父さんに手伝ってもらいながら、お弁当の用意をしていた。そして、出掛ける前に洗面所で、妹の桔梗《ききょう》と出会って・・。マイクロミニともいえる真っ赤なタイトスカートに短いピンクのブラトップ、半袖のシャツを引っかけていた。おへそも見えそうなのだ。そして、安物のネックレスにブレスレット。いかにも、チャラチャラした女の子なのだ。

「桔梗ちゃん 誰かと遊びに行くの?」

「ウン 仲間とね」

「みんな そんな恰好? なの?」

「だよ ウチの勝手ヤン お姉ちゃんみたいに スタイルもよーないしな 顔も不細工やしー 恰好だけでもな  でないと男の子の気 引けへんやん」

「そんなことないよ 桔梗だって 可愛いしー そんな風にしなくても・・ 男の子の気引くって・・・」

「そんな気休めって ええネン ウチは 男の子等と遊んでても 誰かさんみたいに優等生ぶって 裏で誘惑したりして楽しんでないからなー」

「ちょっとー なにー 今の・・」

「学校中のウワサやんかー ウチかって お前の姉ちゃんは男を誘惑して、やったんやてなって お前もそうなんやろーって 言われてるんやでー」

「・・・ 桔梗 そのこと お母さんに・・」

「ゆうてへんよー 安心して お姉ちゃんは ウチとちごてー 優等生なんやもんなっ  そんなことバレたら お母さん可哀そうやもん」と、言い放って、出掛けて行ったのだ。そうなのかー 桔梗にまで・・ 可哀そうなことしてしまった。

 私が幼稚園の時、実のお母さんは、しばらく入退院を繰り返していたのだが、結局亡くなってしまっていた。そして、小学校2年生の時、それまでお父さんの仕事を手伝っていた波香《なみか》さんという女性が女の子と一緒に家に住み込むようになって、私の世話なんかも見てくれるようになった。小学校3年生の時、お父さんから波路さんと再婚することにしたと聞かされたのだ。その時の、女の子が桔梗で私の1つ下の妹になったのだ。

 しばらくの間は、私はお母さんと呼べずに「あのー」とか「なみかさん」とかと誤魔化していたのだが、5年生になるとお父さんから、ひどく叱られて・・・それ以来、なんとか、お母さんと呼ぶようになった。桔梗のことは小さいころから知っているので、私も妹が出来て嬉しくって、可愛がって仲良くしていたのだが、あの子が中学生になると、なんとなく反抗するようになっていて、お母さんにも、無理を言うようにもなっているみたいだった。そして、最近では、学校内でも素行の良くない連中と遊んでいて、夏休み前にお母さんが学校に呼び出されていたみたいなのだ。お父さんと私には内緒にしているのだけれども・・。

 私は、ジーンの短パンで出ようとしていたのだが、桔梗のことがあったので、うきうきした気持ちが失せてしまって、トレーナーに長いジーンに穿き替えて出てきていた。待ち合わせ場所に行くと村上君は先に来てくれていた。

「ごめん 待たせてしまって・・」

「いや 別にー なんだぁー 山葵 もっと 短いので来るのか思ってた」

「なんやー いつもウチのテニスのん見慣れてるやろー そんなん期待してたんかぁー?」

「いや そのー テニスの時とは・・別」

「うんもぅー 生脚に興味あるんか ウチに興味あるんか どっち!」

「・・・わ さ び」

「よーし 次は 短いの穿いて来るネ 村上君のために」

 私達はしばらく公園内を散歩して・・・ベンチを見つけて、お弁当を食べることにした。

「うまいなぁー 山葵が作ったのか?」

「当り前ヤン 朝からネ」

 俵型のおにぎりに、牛肉しぐれ・鯛の薄切りの焼いたもの・なすの漬物の薄切りを海苔で巻いて、それにだし巻き玉子に網焼き牛肉。お父さんも少し手伝ってくれたけど・・。自分でも上出来と思っていた。

 そして、水族館に行こうと言われたけど、私は暗い所はチョットーと鉄道博物館の方に行くことにした。公園を歩いている時は手もつないでくれなかったんだけど、中では照れ臭そうに時々手を引っ張ってくれていた。

「なぁ なんか 楽しくないんか? いつもと違うネ 考えごとあるの?」

「うぅん ちゃうよー 初めてのデートで緊張・・・ ・・・あのなー 出て来る時 ちょっと 桔梗とネ もめた」

「あぁ 桔梗ちゃんなぁー 明るくていい子なんだけど・・ ちょっと付き合ってる連中が良くないよな なんか 高校生とも遊んでるみたいだなー 評判の良くない連中」

「そうなのよ 最近なんか家でもウチと話もしないし、避けようとしているみたいで・・ あの子 変わってしまったワ」

「そうか 良い子なんだけどなぁー 同じ姉妹でも 山葵とは違う感じだネ 桔梗ちゃんは活発なんだよ 今は 反抗期に入ってるんカナ」

 そうなの、私とは違うのよ。本当の姉妹じゃぁ無いんだものー。だから、気持ちが通じ合えないのかも・・。でも、実の姉妹じゃぁ無いってことは、村上君にも打ち明けてないのだ。 
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