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博士の挑戦状

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第四十七話

              第四十七話  日本の幽霊
 映画を観終わってだ、カーミラは自身の使い魔達に話した。
「何がどう怖いかは」
「わからないですね」
「動きが鈍く」
「また特定の相手にしか祟らないので」
「怨みを持っている」
「それではです」
「怖くないわ」
 こう言うのだった。
「どうもね」
「左様ですね」
「日本で怖い存在は幽霊ですが」
「妖怪よりも」
「そして悪魔よりも」
「獣等よりも」
「そうですが」
「それでも何処がどう怖いのか」
 冷静な顔で言うのだった。
「わからないわ」
「はい、ですがそれでもです」
「面白かったですね」
「映像も演技もよく」
「脚本も見事で」
「作品の完成度は高いわ」
 怖いと感じずともというのだ。
「それ自体はね」
「左様ですね」
「それ自体はいいです」
「ですから観終わってです」
「満足出来ました」
「そうね、そういえば博士は」
 ここでカーミラは天本博士のことを思い出した。
「もうずっと日本にいるわね」
「かれこれ千年ですね」
「この国に拠点をもうけていますね」
「そのうえで活動していますね」
「どうやら」
「それなら怖いと思う対象も」
 ホラー映画を観るうえでというのだ。
「幽霊かしら」
「日本に長くいますと」
「それならですね」
「日本人の考えになり」
「幽霊が怖くなりますね」
「そうなるんじゃないかしら」
 こう言うのだった。
「その場合ははね」
「そうかも知れないですね」
「確かに」
「言われてみますと」
 使い魔達も頷いた、そうして今は観終わった映画の詳しい内容のことを話すのだった。それは楽しいものだった。


第四十七話   完


                     2023・3・25 
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