八条学園騒動記
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第七百一話 潜入前にその九
「もうな」
「左様ですね」
「日本語自体がわかりにくい」
「連合の言語の中でも」
「連合は銀河語を含めて多くの言語が存在しているが」
第一公用語を銀河語としてだ、どの国でもこのことは絶対であり母国語を同時に学んでいる。即ち連合市民は全て銀河語と母国語を話せるのだ。
「日本語の難解さはな」
「連合の言語でもトップクラスいえ」
「トップさえだ」
「言えますね」
「発音も複雑だからな」
「複数の文字や文法以外にも」
「ここまで複雑で難解な言語はだ」
大尉は今はラテン語で話した。
「他にないしな」
「その為発音もですね」
「漢字の読み方でも複数あるな」
「音読みと訓読みですね」
「その複数があるのだ」
日本語ではというのだ。
「中には同じ単語で同時にだ」
「用いますね」
「人命にもな、太宰治をだ」
二十世紀中頃に活躍したこの作家のことも話した。
「『だざいおさむ』と読むな」
「左様ですね」
「『だざいち』ではない」
「まさに音読みと訓読みが混ざっていますね」
「日本人はこれを普通の読む」
だざいおさむと、というのだ。
「そこがだ」
「また特別ですね」
「日本人はそれが普通に読めているからな」
「恐ろしいですね」
「そして日本語の発音の難解さもだ」
「出ていますね」
「その発音の中でもだ」
特にというのだ。
「薩摩星系の方言はな」
「極めつけですね」
「太宰は本名を津島修治といい」
大尉は太宰のことをさらに話した。
「津軽、今で言う津軽星系のだ」
「元ですね」
「その地の出身でだ」
そちらの大地主そして政治家の家の出であった、彼の長兄は実際に政治家として知られていた人物だった。
「使っている言葉もだ」
「津軽星系の方言ですか」
「そしてこの星系の方言もだ」
「独特ですか」
「そうだ、実はこの星系の方言もだ」
津軽星系のそれもというのだ。
「考えていたが」
「薩摩星系のものにされましたか」
「こちらの方がわかりにくいと思ってな」
聞く方がというのだ。
「そちらにした」
「そうでしたか」
「そしてだ」
「これよりですね」
「変装をしてな」
これは忘れずにというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「そのうえでだ」
「薩摩星系の方言を使い」
「潜入してだ」
「内部を見ていきますね」
「そうするとしよう」
こう話してだ。
二人は実際に変装をして薩摩星系の方言を脳内で使用する言語にも用いた、そうするとかなりだった。
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