八条学園騒動記
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第七百一話 潜入前にその四
「そうした国ということだ、まだマウリアの方がだ」
「変装しやすいですね」
「実は彼等は白人だ」
マウリアの者達はというのだ。
「骨格を見ればわかる」
「そして顔立ちも」
「髪の毛や目の色は黒いが」
アジア系やアフリカ系の特徴である。
「しかしだ」
「それでもですね」
「そうだ、アーリア人の侵入からだ」
紀元前のそれからというのだ。
「彼等はな」
「白人ですね」
「カーストの上の方はな」
即ち支配階級はというのだ。
「そうなっている」
「左様ですね」
「だからだ」
「変装も楽ですね」
「髪を染めてだ」
まずはそうしてというのだ。
「黒くな」
「そして目もですね」
「カラーコンタクトを入れてな」
そうしてというのだ。
「肌もだ」
「黒く化粧すれば」
「それでだ」
「いいですね」
「そのうえでターバンを巻いてな」
「あちらの服を着れば」
「こと足りる」
マウリア人に化けられるというのだ。
「そうなる」
「人種が同じだと楽ですね」
「潜入もな」
「そうですが」
「しかしな」
「人種が違うとですね」
「それがそうはいかない、連合の混血はな」
まさにこのことがというのだ。
「工作員の潜入をだ」
「困難にしていますね」
「それでもしているが」
その困難を掻い潜ってというのだ。
「しかしな」
「やはりですね」
「純粋なコーカロイドが少ないことはな」
「連合潜入のネックですね」
「そうだ、だがこのことはな」
大尉は上等兵にこうも話した。
「我々にとってもだ」
「よいことですね」
「むしろ彼等の方がな」
連合の方がというのだ。
「潜入は困難だ」
「エウロパの方が」
「肌が黄色だったり黒だったりだ」
連合では普通のことである。
「彫の薄い顔立ちはな」
「エウロパではないです」
「だからな」
「彼等の潜入は困難ですね」
「彼等から見て我々の連合への潜入は楽だとだ」
その様にというのだ。
「言われているが」
「実は困難で」
「そして逆はな」
連合からエウロパにはというのだ。
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