仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第二十五章
「奇巌山へ」
「行くの?たっ君」
「だから御前が言ったんだろ、果たし状を出したらって」86
海堂と同じ突込みを彼も入れた。
「それはそうだけれど」
「ええと、確か」
一同はここでカレンダーを見た。
「今日が二十二日だから」
「明日だ」
津上が乾に答える。
「早いな」
「まあいいさ。うだうだ悩む暇がなくてな」
「じゃあたっ君もう」
「啓太郎、明日だ」
乾はまた啓太郎に述べた。
「いいな」
「わかったよ。けれどさ」
啓太郎は乾だけでなく皆に対して言う。
「結花さんも他の皆も生きて帰ってよ。御馳走一杯用意してるからさ」
「ああ、じゃあな」
乾も他の者達もそれに頷く。そして次の日の朝。戦士達は戦場に向けて旅立ったのであった。
「絶対だよ」
啓太郎は真理、里奈と共に玄関で彼等を見送った。真理と里奈もまた彼等を見守る。だがあえて一言も発しなかった。ただ彼等を見送るだけであった。
七人は奇巌山に辿り着いた。まだそこには誰も見当たらない。氷川だけがいない。
「誰もいないっていうのは間違いだろうな」
乾はバイクから降りて周囲を見回しながら呟いた。奇巌山は至るところ岩と石ばかりであった。他には何もない。それを見るとまるで山と言うよりは荒地であった。七人はその中にある盆地のようなところにいた。周囲は岩山ばかりである。正面にとりわけ大きな青い岩山がある。
「周囲からとんでもない気配を感じるぜ」
「そうだな」
乾のその言葉に津上が頷く。
「いるみたいだな。それも大勢」
「はっはっは、おわかりのようですね」
それに応えるかのように村上の声が聞こえてきた。
「その通りです。ようこそおいで下さいました」
七人の前に村上とレオ、ラッキーグローバーの面々が姿を現わした。高い場所から八人を見下ろしている。
「どうですかここは。宴の場に相応しいでしょう」
「シャンパンも御馳走もなしでか」
乾が彼に言い返す。
「それで何がパーティーだ」
「戦いもまた宴です」
それが村上の返事であった。
「そうではないですか?」
「そうか。なら容赦はいらねえな」
乾はすぐに携帯を取り出してきた。草加と三原もそれに続く。
「変身!」
三人はそれぞれ変身した。長田と海堂はオルフェノクになり津上と葦原も変身していた。そこへ氷川がG3Xになってやって来た。
「間に合いましたね」
「今はじまるところだ」
乾が彼に返す。
「いよいよな」
「ええ。じゃあ」
「これで役者は揃いましたか。では」
「来い!」
三原が村上に対して叫ぶ。
「ここで御前達を!」
「いえいえ。宴なのですから催しを用意しておきましたよ」
「催し!?」
「それは一体」
「さあ諸君」
村上は今度は津上と葦原に応えるようにして声をあげた。両手を広く掲げると周囲に無数のバイクに乗ったヘルメットの者達が姿を現わした。
「ライオトルーパーか」
草加がそれを見て言った。
「しかも尋常な数じゃない」
「一万人です」
村上は誇らしげな様子でそう答えた。
「一万人だあ!?」
「まさか全てのオルフェノクを」
「そうです。我がスマートブレインの全社員をね。動員したのですよ」
村上は海堂と長田に言う。
「それだけではなく海外からも集めましたが。つまりこれは」
「オルフェと俺達の決戦ってわけか」
「その通りよ」
影山が妖艶でありながら酷薄な笑みを浮かべながら乾に答えてきた。
「それだけに村上君が頑張っちゃって」
「生きているオルフェノクを皆集めたんだよ」
今度は北崎が述べた。
「一万人というがそれではきかない」
ジェイも言う。
「どれだけいるかはわからない。だが今我々に賛同するオルフェノクは全員集まっていると言っていい」
「そうだ。これがパーティーだ」
今度言ったのは澤田であった。
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