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仮面ライダーファイズ 小さな星の話

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第三章

「貴方は生きなければならないからです」
「貴方は」
 そこにも青年が現われた。そしてスマートレディもまた。
「またオルフェノクとして生きろと」
 スマートレディを見てそう思った。しかしそれは違っていた。それは他ならぬ彼女の言葉によって否定されてしまった。
「それが違うの。残念ね」
「では人間として生きろと」
「そうです。それにオルフェノクも人も変わりないですから」
「変わりない」
 木場は青年の言葉に目を丸くさせる。
「そんな。人とオルフェノクは対立するものの筈だ、それがどうして」
「それは貴方の誤解です」
 青年は述べる。
「その誤解もまた解けるべきなのです。さあ」
 そして木場に声をかけた。
「行きなさい。貴方の行くべき場所に」
「行くべき場所」
「それは木場君が一番わかっている筈よ」
 スマートレディはにこやかに笑って彼に述べる。
「何処に行けばいいのかは」
「わかった」
 俯いてそれに答える。
「俺の行くべき場所に。行って来る」
 彼は二人に言ってその場を去った。そのまま彼が行くべき場所に向かうのであった。
「後は彼女ですよね」
 スマートレディはまた青年に声をかけた。
「行きます?」
「いえ、彼女はもう向かっています」
「あら、もう生き返らせたのですか」
「いえ、彼女はあの人が蘇らせました」
 青年は言った。
「既に彼等の場所に向かっています」
「あら、もうなんですか。それはびっくり」
「ただ。少し時間がかかると思います」
「どうしてなんですか?」
「会わなければならないからです」
「誰と?」
「アギトと」
 それが青年の言葉であった。一言であった。
「彼等のうちの一人と会う運命ですから」
「そうだったんですか」
「皆運命に導かれているのです」
 青年はまた言う。
「乾巧、草加雅人、三原修二」
 三人のライダーの名を。
「木場君もですか?」
「はい。そしてアギトの戦士達もまた」
「ええと。確か」
 スマートレディは記憶を手繰りながら述べてきた。
「津川翔一君に氷川誠君、葦原涼君でしたね」
「そして木野薫」
 かつて彼と戦った男達だ。今では彼等もまた青年と想いを同じくさせている。
「彼等の力も必要なのです。オルフェノクの因果を終わらせる為には」
「ですか」
「そうです。では次はですね」
「私の仕事ですか?」
 スマートレディは青年に問う。
「やっぱり」
「天のベルトと地のベルト」
 青年は静かに語る。
「そのうちの一つをお願いできますか」
「一つでいいんですか?」
「一つしか手に入らない運命ですから」
 それが青年の答えであった。
「それで構いません」
「わかりました。じゃあスマートブレイン社に一旦戻ります」
「はい」
 それからですね。また話が動くのは」
「スマートブレイン社はまだ動いていましたね」
「かなり規模は小さくなっていますけれど」
 彼女はそう説明してきた。
「ただあの人が社長になっちゃって」
「あの人ですか」
「はい。多分皆もこれから」
「激しい戦いになるからこそ」
 青年の声が引き締まったものになった。
「もう一つのベルトが必要なのです」
 青年はまた手を打とうとしていた。それによりまた運命が動こうとしていた。この時運命の一つがはじまろうとしていた。
 
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