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第三章

「そうなるんだ、君は確かにね」
「報いを受けたんですね」
「そうだよ、けれど君はまだ人を殺していないし」
 例え殺意と悪意のある行動を取ったがというのだ。
「心から反省している、だからね」
「手術を受けてですか」
「助かることもね」
 また歩ける様になることもというのだ。
「選べるよ」
「そうなんですね」
「それでどうかな」
 瑛子にあらためて尋ねた。
「君は」
「助かりたいかですか」
「また歩ける様になりたいかな」
 瑛子をじっと見て尋ねた。
「君は」
「お願いします」
 これが瑛子の返事だった。
「また歩きたいです」
「自分の力でだね」
「そしてもう二度とです」
「いじめもしないね」
「こんな辛い目に遭ったんで」
「そうだね、じゃあ手術をするね」
「お願いします」 
 瑛子も頷いた、そうしてだった。
 東は彼女の手術を行った、それは成功し。 
 瑛子はまた歩ける様になった、そうなってから東に深々と頭を下げて感謝の言葉を述べた。
「有り難うございます」
「よかったね、また歩けるよ」
「はい、先生とお金を出してくれた人のお陰です」
 こう言うのだった。
「本当に」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「もう絶対にいじめなんてしないです」 
 瑛子は心から言った。
「どんなものかわかったので」
「そうするんだよ、ただね」
「ただ?」
「もう一つ覚えていて欲しいことがあるんだ」
 東は瑛子に話した、立って歩ける様になった彼女に。
「君は誰からも見捨てられたね」
「はい」
 歩けなくなってから自分の行いを知られてとだ、瑛子は答えた。
「そうなりました」
「そうだね、けれど千人のうち九百九十九人が見捨ててもね」
 彼女の両親に話したことを話すのだった。
「一人は手を差し伸べる」
「それで私はまた歩ける様になったんですね」
「そうだよ、それもまた世の中だよ」
「そうなんですね」
「その人がまだ許されて心から反省していたら」
 その場合はというのだ。
「きっとね」
「そうした人が出てくれるんですね」
「そうだよ、だからどんな状況でもね」
 かつての瑛子の様な状況でもというのだ。
「諦めたら駄目だよ、君は死にたいとも思ったね」
「何度も」
 瑛子は心から答えた。
「思いました」
「そうだったね」
「はい、けれど歩けなくて」
 そしてというのだ。 
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