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自業自得の後で

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第一章

                自業自得の後で
 小学五年生の吉田瑛子は車椅子で生活をしている、黒い髪の毛をおかっぱにしていて大きな目とピンクの唇の濃いカーブを描いた眉とやや丸い顔を持っている。
 いつも暗い顔で俯いている、その彼女を誰もが嫌悪の目で見ていた。
「ああ、あいつがか」
「クラスメイトいじめていてその娘に窓から飛び降りろって言って」
「それで泣いて窓で戸惑っていた娘を体当たりで突き落とそうとして」
「自分が落ちたのね」
「それで脊髄損傷して歩けなくなって」
「今じゃ車椅子なんだな」
「自業自得じゃない」
 誰もが瑛子を見て蔑んだ声で話した。
「いじめなんて最低」
「ああなったのも報いだよ」
「そのまま一生苦しめ」
「誰があんな奴助けるか」
「動けなくても自分でやれ」
「いじめっこなんてどうでもなれ」
「というかあんな奴の介護なんてしたくないな」
 こう言うのだった、そして介護職の人達も彼女の話を聞いて言うのだった。
「えっ、そんな理由で動けないんですか」
「それって自分が悪いですよ」
「仕事でもそんな娘の介護したくないです」
「飛び降りろって言うとか殺人ですよ」
「人に自殺しろって言って突き飛ばそうとして」
「体当たりしてその娘がかわして自分が窓から落ちてって」
「完全に自業自得ですよ」
 それこそというのだ。
「そんな娘自分でやれば、ですよ」
「介護職も忙しいですし」
「そんな娘放っておいて他のフォローが必要な人のところに行きましょう」
「あんな娘を介護するとか嫌です」
「頼まれてもしません」
 こう言って誰も瑛子を助けなかった、それは家でも同じで。
「いじめをして逆に自分が大怪我して」
「人様の娘さんに自殺しろって言って自分が怪我するなんて」
「何て馬鹿な娘だ」
「ご近所からも凄い言われてるし」
「何でこんな娘になったんだ」
「あの時死んでくれた方がよかったわ」
 両親からこう言われた、瑛子の居場所は何処にもなかった。
 誰も彼女を汚物を見る目で見て否定の言葉を言って助けようとしなかった。瑛子はそんな状況で何も出来なかったが。
 ある日だ、外科医をしている東滉星黒髪をショートにしていて一重の着れば画でやや小さい強い光を放つ目に引き締まった口元に鉤爪型になった眉と一八〇近い引き締まった体格の彼が彼女の家に来て両親に言ってきた。
「あの、お話は聞きましたが」
「娘のことをですか」
「いじめのことを」
「はい、それで障害のことも」
 東は瑛子の両親に強い声で話した。
「聞きました、私なら娘さんの障害を手術で治せると思います」
「それで、ですか」
「来てくれたんですか」
「そうです、手術させてくれませんか」
 こう両親に言うのだった。
「手術代はとある方が無償で出してくれます、成功したら脊髄損傷の開腹手術についての貴重なサンプルになるとのことなので」
「手術代もですか」
「出してくれるんですね」
「そうです、八条病院の方からです」 
 その手術代を出す人のことも話した。
「頼まれていまして」
「そうですか、ですが」
 父親が東に答えた、沈んだ顔で。
「娘はいじめをした結果です」
「障害を負われたので」
「ですから」
 それでというのだ。 
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