カワウソは狂暴

　晴香もだ、子供達に言った。
「触ったら駄目よ」
「えっ、駄目なの？」
「どうして？」
「噛まれるから」
　だからだというのだ。
「この子にね」
「カワウソって噛むの」
「そうなんだ」
「噛むわ、カワウソって結構狂暴でね」
　子供達に真剣な顔で話した。
「歯も鋭いから」
「噛まれたら怪我するんだ」
「そうなんだ」
「子供だったら大怪我するわ」
　こう言うのだった。
「だからよ」
「カワウソ触ったら駄目なの」
「そうなんだね」
「そうよ、外見は可愛くてもね」　
「それでも狂暴だから」
「触ったら駄目んだな」
「そうよ、本当に怖いから」　
　カワウソは実はというのだ。
「気を付けてね」
「うん、それじゃあね」
「触らないね」　
　子供達も大怪我と聞いて素直に従った、そしてだった。
　家でもだ、晴香は夫に話した。
「カワウソは結構狂暴だから」
「気を付けないとな」
「大怪我するわよ」
「そうなんだな」
「そう、噛まれると怪我するしね」
「そういえば生のお魚バリバリ食べるな」
　夫は妻がやるご飯のことを話した。
「歯が鋭いな」
「そうなの、それにイタチの仲間なのよ」
　この生きもののというのだ。
「これはフェレットやオコジョやミンクもだけれど」
「ラッコもな」
「イタチは攻撃的でね」
「周りの生きもの皆狩るな」
「そうした習性があるし」
「カワウソもそんなところあるんだな」
「そうよ、だから気を付けてね」　
　夫もというのだ。
「そうした生きものだってことはね」
「頭に入れてだな」
「一緒にいましょう」
「ああ、可愛くて俺達には懐いてもな」
「狂暴なのよ」　
　こう夫に言うのだった、そして彼女自身もだ。
　ゴンのそうした一面については常に頭に入れて彼を一緒にいた。カワウソは実は狂暴な生きものということを。


カワウソは狂暴　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・４・２５