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温かいから冬は

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第一章

                温かいから冬は
 ふわりの体温は高い、それでだ。
 彼女の家族である国崎家の母である百合子はよく抱きかかえていた、冬にそうしてそのうえでいつも言っていた。
「湯たんぽみたいね、ふわりって」
「温かいからか」
「ええ、だからね」 
 それでとだ、夫の文太に言うのだった。
「冬はね」
「こうしてだな」
「春先や秋の終わりもね」 
 こうした時期もというのだ。
「まだ寒いし」
「ふわりを抱き締めてか」
「温まってるのよ」
 今もふわりを抱き締めつつ言うのだった。
「よくね」
「煖房入れてるだろ」
 家の中にはとだ、夫は妻に言った。
「そうだろ」
「それで服も厚着してるわ」
 百合子はこのことは自分から話した。
「そうしてるわ」
「それなら寒くないだろ」
「だって私冷え性だから」
 このことも言うのだった。
「それでね」
「ああ、女の人はな」
「冷え性の人多いでしょ」
「それで母さんもだったな」
「昔からそうだからね」
「子供の頃からか」
「そう、子供の頃は自覚がなかったけれど」
 それでもというのだ。
「そうだから」
「家の中は煖房入れて厚着してもか」
「寒いから」
 それでというのだ。
「ふわりにはね」
「湯たんぽ代わりになってもらってるか」
「こうしてね」
 今も抱きつつ話すのだった。
「そうしてもらってるのよ」
「湯たんぽは下手したら低温火傷するがな」
 文太はこのとを話した。 
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