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仮面ライダーAP

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北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第2話

 
前書き
◆今話の登場ライダー

鳥海穹哉(とりうみくうや)/仮面ライダーケージ
 警視庁に属する巡査長であり、真っ直ぐな正義感の持ち主でもある熱血刑事。年齢は29歳。
 ※原案はたつのこブラスター先生。

忠義(チュウギ)・ウェルフリット/仮面ライダーオルバス
 アメリカでは騎馬警官として活躍していた父の影響で警察官となった、ハーフの青年。年齢は22歳。
 ※原案はX2愛好家先生。

本田正信(ほんだまさのぶ)/仮面ライダーターボ
 元白バイ隊員であり、亡き先輩の仇を討つために「2代目」として装甲服を受け継いだ熱血巡査。年齢は33歳。
 ※原案はヒロアキ141先生。

◆ジャック・ハルパニア/仮面ライダーUSA(ユナイテッドステイツ)
 在日米軍から出向してきた豪快なタフガイであり、アメリカ軍で開発中のスーツのテストを任されている陸軍大尉。年齢は40歳。
 ※原案はリオンテイル先生。
 

 

 ――2021年9月16日。北欧某国の小都市、「オーファンズヘブン」。
 ノバシェードの侵攻によって破壊し尽くされているその街に訪れた4人の男達は、これまで見て来たテロの中でも一際凄惨な光景に眉を顰めていた。

 怪人達の暴虐により、壊滅の危機に瀕した街を目の当たりにしたのは今回が初めてではない。が、このオーファンズヘブンに齎された破壊と殺戮は、それらを大きく上回るほどに無慈悲なものであった。凹凸の激しい不安定な道路も、激しい戦闘が起きていたことを物語っている。
 周囲を見渡しつつ、瓦礫をかわして右へ左へと蛇行するように駆け抜け、無惨なゴーストタウンへと辿り着いた男達。彼らはそれぞれの「愛車」から降りると、端正なジャケット姿の上に羽織ったロングコートを翻し、死の街へと歩み出して行く。

 人間の自由と平和を守る。その大義を背負って戦い抜いて来た「仮面ライダー」である男達は皆、険しい表情で足元の瓦礫を踏み越えていた。4人を見下ろすこの街の空は、絶え間ない戦闘による猛煙に穢され、薄暗く澱んでいる。

「……酷い有様だな。これが本当に、あの観光都市『オーファンズヘブン』なのか……? あのヘレン・アーヴィング捜査官から、街の現状については聞かされていたが……それにしたって、全く面影が無いぞ」

 先頭を歩くのは、「仮面ライダーケージ」こと鳥海穹哉(とりうみくうや)
 ノバシェードに殺された息子の形見である赤い鉢巻と、青いロングコートがトレードマークとなっている長身の美男子だ。

「人口はおよそ9万人。この国の国境線に面している、ルネサンス様式の街並みが特徴的な観光都市。ヘレンさんの話によればそういうこと……らしいですけど、今となっては見る影もありませんねぇ」

 その後ろを歩いているのは、「仮面ライダーオルバス」の異名で知られている穹哉の相棒こと、忠義(チュウギ)・ウェルフリット。
 艶やかな金髪と、真紅のロングコートが特徴の派手な色男だ。

「アーヴィング捜査官の情報によれば先日、アメリカの偵察衛星が数人の『黒死兵』を捕捉したらしい。……単体でも、パワーだけならニコラシカ級の連中なんだ。ただの警察や軍隊じゃあ、ひとたまりもない」

 専用エネルギー拳銃「シャフトブレイカー」を構えながら、彼ら2人の背後を守っている本田正信(ほんだまさのぶ)も、「仮面ライダーターボ」の名を持っている新世代ライダーの一員だ。
 白のロングコートを羽織った美男子は、両手持ち(ツーハンドホールド)で愛銃を構えながら四周を警戒している。

「警察組織は一夜で壊滅、街の解放を目指して突入した軍の精鋭部隊も全滅。……そうなることが分かっていたとしても、俺達の到着を待つことはプライドが許さなかったのだろうよ。テロに屈することを嫌う勇敢な市長の存在でも有名な街だったからな、ここは」

 正信と共に自動拳銃(オートマチック)を構えて後方の警戒に当たっているのは、このメンバーの中でも最年長であり、豊富な実戦経験を持っているアメリカ陸軍出身のジャック・ハルパニア大尉だ。
 「仮面ライダーUSA(ユナイテッドステイツ)」の名でも活動して来た茶髪の巨漢は、その体躯に相応しいサイズである、迷彩柄のロングコートに袖を通している。

 日本での戦いでノバシェードの首領格を打ち破ってからの2年間。組織の残党を撃滅するべく世界中を転戦して来た彼らは、ドナルド・ベイカー市長やインターポールからの要請を受けてこの街に派遣されて来たのだが――4人が辿り着いた時にはすでに、この惨状だったのである。

 もはや手遅れだったのか。もうこの街に、生き残っている人間はいないのか。
 その最悪の可能性を意識し始めていた男達が、廃墟に囲まれた通りに足を踏み込んだ――次の瞬間。

「――!」

 突如周囲から、大量の「殺気」が噴き上がって来たのである。
 その気配に同時に勘付いた4人は即座に臨戦体勢に入り、全方位に拳銃を構えたのだが――もはや、「手遅れ」であった。

 4人を囲んでいた四方の廃墟。その全ての隙間から彼らを狙っている無数の銃口が、すでに男達の全身を捉えていたのである。
 下手に抵抗しようとすれば、その瞬間に全方位からの一斉射撃で蜂の巣にされてしまうだろう。歴戦のライダー達すらも欺く高度な潜伏能力に、男達は瞠目するばかりだったが――彼らが驚かされたのは、そこだけではない。

 特殊部隊顔負けの立ち回りでライダー達を包囲している、この武装集団は皆――蠱惑的な色香に満ち溢れた、歳若い美少女ばかりだったのである。

(この子達は一体……!?)
(……ノバシェードに与しているわけではないようだが、随分なおもてなしだな。これほどの手厚い歓迎は、中東の激戦区でもなかなかお目に掛かれんぞ)

 統率の取れた挙動ではあるものの、服装をはじめとした装備全般も使用銃器も年齢層もバラバラであり、正規軍の類ではないことは誰の目にも明らかであった。彼女達が共有しているものと言えば、ライダー達を「敵」と認識していることくらいなのだろう。

 この国の正規軍ではないとすると、下手に刺激すれば何を仕出かすか分からない。それに、現地の抵抗勢力(レジスタンス)であるならば協力関係を築けるかも知れない。

 本来、この地域で合流するはずだった正規軍の特殊部隊は軍部としての面子に拘るあまり、ライダー達の到着を待たずして突入作戦を決行し、壊滅してしまった。
 正規軍の歩兵部隊が戦意を喪失している今、最も旺盛な士気を維持しているのは、非正規組織である彼女達なのだ。

(どう見ても正規の武装組織じゃないな……。やはり、抵抗勢力(レジスタンス)の類か?)
(それも……俺達のことをよくご存知の、ね。見てくださいよ、変身する暇なんて与えねぇって面構えですぜ)

 互いの視線を交わし合い、そう判断した4人はそれぞれの愛銃をゆっくりと足元に置き、両手を上げて降伏の意を示す。
 彼らを取り囲んでいた銃口から、ささくれ立つような殺気が消えて行ったのは、それから間も無くのことだった。無用な殺戮を忌避している彼女達の心根が、銃身の揺らぎに現れている。

 ライダー達4人を制圧して見せた美少女兵士達は皆、廃墟の影に身を隠しながらも男達を品定めするように観察していた。
 誰もが振り返る美男子揃いであるライダー達だが、彼女達の眼に「色」は一切無い。そこにあるのは、暗澹とした「疑い」の感情のみであった。

「……奴ら、見るからに怪しいけど……ノバシェードとは違うようね。もしかしてアレが、ベイカー市長が前に話していた『仮面ライダー』って連中?」
「その割には、随分と頼りなさそうな優男ばかりだな。……いや、1人だけそうでもないのが混じっているようだ」
「どんな奴? ここからじゃよく見えない」
「迷彩柄のコートを羽織ってる大男ですね。身長はおよそ190cm、髪は茶。筋肉モリモリ、マッチョマンの変態です」

 この街の市長も全幅の信頼を寄せているという、日本の警察組織を母体とする特殊遊撃要員「仮面ライダー」。その一部である彼らを目の当たりにした美少女達は、自分達に捕まるような連中がこの街を救えるのか、と疑問の声を漏らしている。

 すると――そんな彼女達のざわめきを掻き消すように、1人の美少女が豊満な乳房をばるんっと揺らして、身を乗り出して来た。彼女こそが、この武装組織を率いている実戦リーダーなのだ。

「さて、と……オーファンズヘブンにようこそ、とでも言えば良いのかしら? 『仮面ライダー』の野郎共」

 街の開放と市長の救出を目指して抗い続けている、民間武装組織「オーファンズヘブン解放戦線」。
 その組織を統率している爆乳美少女は、引き締まった腰に手を当て、むっちりとした安産型のヒップをぷるんっと弾ませながら――冷たい眼差しで男達を見下ろしていた。

 彼女の愛銃が肩に乗せられた瞬間、柔らかな双丘がどたぷんっと弾み、甘い「女」の芳香が風に乗って宙を漂う。
 シャワーを浴びる暇もなく戦い続けて来た極上の女体には、じっとりとした汗の匂いが染み付いており、男を狂わせる濃厚なフェロモンを生み出していた。

 彼女に率いられている他の構成員達も、見目麗しい美少女ばかり。だが、その可愛らしい見た目からは想像も付かない無骨な「愛銃」の存在は、彼女達が只者ではないことを雄弁に物語っている。
 そんな美少女兵士達の様子を目の当たりにした4人のライダー達は、互いに顔を見合わせるのだった。

 ――これは一筋縄では行かないかも知れない、と。
 
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