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仮面ライダーAP

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特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第11話

 
前書き
◆今話の登場ライダー

久我峰美里(くがみねみさと)/仮面ライダーEX(エクリプス)
 幼い頃から正義の味方に憧れていた高潔な人物であり、警視庁の警部でもある男装の麗人。年齢は30歳。
 ※原案はマルク先生。

本田正信(ほんだまさのぶ)/仮面ライダーターボ
 元白バイ隊員であり、亡き先輩の仇を討つために「2代目」として装甲服を受け継いだ熱血巡査。年齢は33歳。
 ※原案はヒロアキ141先生。

上福沢幸路(かみふくざわゆきじ)/仮面ライダーGNドライブ
 大富豪の御曹司でありながら、警視庁の刑事でもある優雅な好青年。年齢は28歳。
 ※原案は黒崎 好太郎先生。

水見鳥清音(みずみどりきよね)/仮面ライダーG-verⅥ(ガーベラゼクス)
 良家出身の「お嬢様」ながら、G-4スーツの装着実験で死亡した自衛官の友人の想いを背負い、装着者に志願した物静かな美女。年齢は25歳。
 ※原案は魚介(改)先生。

山口梶(やまぐちかじ)/マス・ライダー
 最も量産性を重視した試験機「マス・ライダー」のテスト装着者を務めている新人警察官。年齢は21歳。
 ※原案は秋赤音の空先生。
 

 
「あっ、ご、ご覧ください! 仮面ライダーです! 警視庁所属の仮面ライダー達が現場に到着した模様ですっ!」

 事件現場となった某テレビ局に到着した、22人の新世代ライダー達。上空を飛ぶ何機ものヘリやテレビ局周辺の報道陣が、その勇姿を生中継で実況していた。

 その様子をテレビやスマホ越しに見守る人々が、固唾を飲んで戦いの行方を見守る中。各々の愛車から颯爽と飛び降りた新世代ライダー達は、放送局入口前の庭園に素早く駆け込んで行く。

「居たぞ……奴らが始祖怪人か!」
「先行していた特殊部隊は……くそッ、もうやられているッ!」

 そこは「No.5」こと吾郎(ごろう)が初めて「仮面ライダーG」に変身し、シェードとの死闘を始めた場所だった。そこで待ち受けていた始祖怪人達は、ここは通さんと言わんばかりに身構えている。

 その足元に累々と横たわる、重傷を負った警察官達の姿が――ここで繰り広げられていた「蹂躙」の凄惨さを物語っていた。

「ぁ、うぅッ……! つ、強い……あまりにも、桁違いだッ……!」
「おい、しっかりしろ! もう大丈夫だ、ここから先は俺達に任せろ!」
「ば、番場総監の試作型を任されていた連中か……!? 気を付けろ、この怪人達の狙いはお前達だッ……! コイツら、局の職員達を人質にしてお前達をッ……!」
「……あぁ、分かってる。用があるのは、俺達も同じだからな」

 そこには、マス・ライダーのスーツを装着した精鋭部隊の姿もある。試作量産型とはいえ、「仮面ライダー」の鎧を纏った警察官でも始祖怪人には全く通用しなかったのだ。

 彼らの無念を汲んだ新世代ライダー達と、この場に居る数人の始祖怪人達が視線を交わす。すでに両者は、臨戦態勢となっていた。

「……来たなァ、仮面ライィダァー……。俺が食らい尽くしてやるぜ」
「ふん……始祖怪人、か。何十年も生きていながら、随分と品のない振る舞いだ。年を重ねれば良いというものではないな」
「ハッ! 怪人相手に品性を求めるとは、ナンセンスな野郎だ」

 始祖怪人の一角であるミサイルイナゴは、ライダー達を見つけるや否や「挨拶代わり」の小型ミサイルを連射する。その動きを捉えた芦屋隷(あしやれい)こと仮面ライダーZEGUN(ゼガン)は、ベルトの左側に装備された専用拳銃「ゼガンシューター」を即座に構え、ミサイルの全弾を容易く撃ち落としてしまった。

 両手持ち(ツーハンドホールド)で愛銃を構えているトリコロールカラーのライダーを前に、歴戦のイナゴ怪人は下卑た笑みを浮かべている。「本気」を出す前から、勝ちを確信しているかのように。
 そんな2人と同様に、他のライダーや怪人達も各々の「標的」に狙いを定め、殺気を露わにして睨み合っていた。

「よく来たねぇ、仮面ライダーの皆。ボクからのお祝い、喜んでくれたかな?」
「……あのハガキは君が書いたのか、アルコサソ。相変わらず、悪趣味なことばかり思い付く子だ!」
「あらあら、これでも君達よりはずぅっと長く生きてるんだけどなぁ〜? ねぇ、久我峰(くがみね)警部」
「外道がッ……!」

 マス・ライダーのスーツを装着し、新世代ライダー達よりも先に現場に到着するも、始祖怪人達の威力には手も足も出ず一蹴されてしまった、警視庁の精鋭部隊。
 彼らを見下ろしながら高らかに嗤うアルコサソに、仮面ライダーEX(エクリプス)こと久我峰美里(くがみねみさと)警部は怒りを露わにしている。

 ――仮面ライダーGに倒される前の始祖怪人達が、日本各地で猛威を奮っていた頃。
 アルコサソを追っていた美里は、彼の手で当時の同僚達を皆殺しにされていたのだ。47年前、ツジム村で彼に蹂躙された某国の兵士達のように。

 12年前の雪辱に燃える男装の麗人は、か弱い「男の娘」を演じていた宿敵との因縁に終止符を打つべく、静かに拳を構えている。そんな彼女の勇ましい姿すら、アルコサソは冷酷に嘲笑っていた。

「……お前達に近しい力を持ったマス・ライダーの連中は、すでに始末した。なのに、なぜ貴様らは臆さない。なぜ戦いを続けられるのだ……!」
「シェードの悪夢が続く限り……仮面ライダーは死なん。死んでいった先輩の分まで……俺は戦う。次は貴様が『報い』を受ける番だ、トライヘキサッ!」

 始祖怪人達を筆頭とする旧シェードの暴虐。その時代を知る本田正信(ほんだまさのぶ)こと仮面ライダーターボも、敬愛していた先輩の「仇」であるトライヘキサを前に闘志を燃やしていた。

「貴様……上福沢(かみふくざわ)財閥の御曹司か。数十年前、工業廃液に汚染された私の故郷を復興させたという……」
「環境無くして人類に未来はない。……当時の復興に尽力していた父の言葉だ。サザエオニヒメ……いや、福大園子(ふくだいそのこ)、君の『過去』はすでに調べがついている。今からでも、戦いを終わらせるつもりは本当にないのか?」

 一方、サザエオニヒメと対峙していた上福沢幸路(かみふくざわゆきじ)こと仮面ライダーGNドライブは、彼女の「過去」を知るが故に投降を呼び掛けていた。

 だが、すでに引き返せないところにまで来ていた彼女が、今になってその勧告を受け入れることはない。サザエの怪人は右腕の螺旋(ドリル)を、静かにGNドライブに向けている。

「そうか……貴様も全てを知っているのだな、上福沢幸路。今度は貴様が『ケジメ』を付けに来た……ということか」
「……やはり、投降の意思はないのだな。ならば僕は刑事として、仮面ライダーとして、然るべき職務を遂行するのみだ!」
「それで良い。……私はあの人災が遺した悪夢そのもの! 未来を欲するのならばこの私を討ち、悪夢を祓って見せろ! 仮面ライダーッ!」

 自身の故郷を救った上福沢財閥。その御曹司である幸路ことGNドライブこそ、「サザエオニヒメ」を終わらせる「執行人」に相応しい。それが、福大園子の決意だった。
 そんな彼女の意思を汲み、GNドライブも悠然と身構える。長きに渡る因縁に、幕を下ろすために。

「ほう……どうやらようやく、人間共の『火力』も俺達に追い付いて来たようだな。俺がこれほど昂るのは、仮面ライダーGと戦った時以来だぞ」
「……戦うことでしか己の存在意義を実感出来ないとは、実に哀れですね。私達の手で、今度こそ終わらせてあげます」
「戦うことでしか……? それは違うな、仮面ライダー。俺という存在を証明してくれるのは……俺の手によって死ぬ、貴様らの『死』だけだ。貴様らの死が、断末魔が、俺の存在を肯定してくれる。この身体の内側を、満たしてくれる」

 浅黒く筋骨逞しい肉体を、野戦服の下から浮立たせている紅衛校。
 愛用の重機関銃を携えている彼は、水見鳥清音(みずみどりきよね)が装着している仮面ライダーG-verⅥ(ガーベラゼクス)の重装備を前に、感嘆の笑みを溢していた。

「ならば……満たされぬまま終わる苦しみを、無限に味わいなさい。暗く冷たい、牢獄の底で」
「……言ってくれる。俺好みの強気な女だ」

 一方、GX-05「ケルベロスランチャー」を構えているG-verⅥこと清音は、仮面の下で冷たい表情を浮かべている。
 怪人の自己満足になど付き合う気はない、という冷たい「拒絶」が、彼女の怜悧な貌に現れていた。

「残念ですが……タイプではありませんね」

 透き通るような白い柔肌。むっちりとした安産型の巨尻と、くびれた腰つき。推定Gカップの豊穣な乳房。老若男女を問わず、見る者全てを魅了する絶対的な美貌。

 そんな圧倒的なプロポーションを誇るクールビューティーは、その美しさと肉体を荘厳な外骨格で覆い隠したまま、鋭い目付きで獰猛な巨漢を睨み上げている。
 貴様の歪んだ力になど、屈しないと言わんばかりに。

「ヴァ……ァア、アッ……!」
「……俺に勝ち目なんて、万に一つも無いかも知れない。それでも……マス・ライダーの1人として、絶対に引くわけには行かないッ……!」

 放送局の入り口付近に停められている、兵員輸送車。
 濁った機械音声と共に、そこから現れた仮面ライダーRCと対峙しているのは――精鋭部隊のものと同じ、マス・ライダーの装甲服を纏っている山口梶(やまぐちかじ)巡査だった。

 精鋭部隊を拳一つで圧倒し、「格」の違いをマスコミに見せ付けたRCの尋常ならざる膂力は、彼もよく知っている。彼のスーツも隷の改造によってかなり強化されてはいるが、それでもRCとのパワー差は計り知れない。

 警視庁の中でも選りすぐりの警察官を集めて編成された、精鋭のマス・ライダー部隊。
 彼らでも全く歯が立たなかった相手に、若手警官のマス・ライダーがたった1人で挑むなど、無謀という言葉でも足りない愚行の極みでしかない。

 それでも、彼にはマス・ライダーの「テスト装着者」としての意地があるのだ。
 マス・ライダーの装甲服を纏った者達は皆、RCの拳で叩き伏せられてしまっている。だからこそ、そのRCをマス・ライダーの手で倒し、このスーツの存在意義を取り戻さねばならない。

「……お前で証明させてもらうぞ。俺達マス・ライダーは、紛い物なんかじゃないってことをッ!」
「ヴァァァアッ……!」

 精鋭部隊の無念を晴らすためにも、自分にテストを託した番場総監の期待に応えるためにも。
 例えどれほど無謀であろうとも、この強敵だけは誰の手も借りずに倒さねばならないのだ。山口梶という男の、意地に賭けて。
 
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