彼女の角

　　　　　　　　　　　　　　　　彼女の角
　家具屋で働いている清宮富男の交際相手である早見寿子は長い黒髪を奇麗にセットしており黒く長いはっきりした眉と艶やかな感じの切れ長の二重の目それに赤い奇麗な唇と形のいい顎を持っている。色白で背は一六〇位である。
　いつも優しく気さくである、だが。
　彼女の妹の由佳、姉によく似た外見だが姉と違って胸のある彼女は富男に対してよく注意する様に言っていた。
「お姉ちゃんは怒らせないで下さい」
「そんなに怖いんだ」
「滅多に怒らないですが」
　それでもとだ、丸めの顔で優しい感じの目に丸眼鏡をかけ縮れた黒髪と一七〇位の背で少し太った彼に言うのだった。
「怒ったら凄いんで」
「怒ったところ見たことはないけれど」
「私も一回しかないです」
　妹でもといのだ。
「それで同じ学校の人も見たことないそうですが」
「そんなに怒らないんだ」
「ですが一回悪質なしつこい勧誘の人に街で会って」
「その時由佳ちゃんも一緒だったんだ」
「そうだったんですが」
　その時にというのだ。
「もう凄く怒って私が驚く位だったんで」
「それでだね」
「もう絶対にです」
「怒らせないことですね」
「そうして下さい」
「うん、気を付けるよ」
「富男さんは人を怒らせる人じゃないですが」
　温厚で気遣いが出来る、かつ思いやりに満ちている。
「ですが」
「それでもだね」
「怒らせない様にして下さい」
「注意するよ」
　富男はこう答えた、そのうえで寿子と交際して一緒に暮らしていた、二人でいる間寿子が怒ることはなく。
　彼は由佳の言うことが本当かと思ったが。
　ある日だ、休日だったが昼下がり二人でゲームをしている時に電話がかかってきた、寿子が出たがその電話は。
　しつこい勧誘だった、幾ら寿子がいいと言っても食い下がっていた。それが三十分も続いたがこここでだった。