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X ーthe another storyー

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第十三話 母親その二

 弁当箱を開いた、するとその中は。
「お握りと豚カツか」
「ほうれん草のおひたしとプチトマトよ」
「それに苺か」
「昨日の晩ご飯の残りをね」
 小鳥は神威に微笑んで話した。
「いつもお弁当にしているの」
「それで俺にも作ってくれたか」
「お兄ちゃんにもね」 
 神威に微笑んで話した。
「そうしてるの」
「そうなのか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「三人でね」
「同じものを食うか」
「お兄ちゃんはいつもクラスのお友達と食べてるけれど」
 それでもというのだ。
「食べるものはね」
「三人共同じか」
「そうだよ、だからね」
「一緒にだな」
「食べようね」
「そうさせてもらう」
 神威は隣に座る小鳥の言葉に頷いた、そうしてだった。
 箸を手に食べはじめてだ、今度はこう言った。
「美味い」
「そう、よかったわ」
 小鳥は神威の今の言葉に微笑んだ。
「じゃあどんどん食べてね」
「そうさせてもらう」
「これから毎日作るから」
「いつも食堂で食ってたが」
「これからはね」
「三人でか」
「一緒のものを食べよう」
 小鳥も食べつつ話した。
「そうしようね」
「悪いな」
「悪くないよ、だってずっとこうだったでしょ」
「子供の頃はな」
「それが戻っただけだから」
 それでというのだ。
「悪くないよ」
「そうなのか」
「それでお握りの中にね」
 小鳥はこちらの話もした。
「梅干し入れたけれど」
「どのお握りにもか」
「それはどうかな」
「そちらもいいな」 
 神威はそのお握りを食べて答えた。
「美味い」
「そう、お握りにはね」
「梅干しだな」
「おかかや鱈子もいいけれど」
「一番はか」
「それじゃないかって思うし」
 それでというのだ。
「今日はね」
「梅干しにしたか」
「どのお握りもね」
「いいと思う」
 こう話したのだった。
「特に小鳥が握ってくれたら」
「美味しい?」
「塩も程々で」
 そしてというのだ。
「海苔の巻き方もな」
「いいの」
「最高だ」
 まさにというのだ。
「だから幾らでも食べられる」
「じゃあ沢山食べてね」 
 小鳥は神威の言葉を受けてにこりと笑って応えた。 
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