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ヘタリア大帝国

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TURN50 セーシェル星域にてその九

「そうしてくれるか」
「わかりました。それでは」
 こうしてビジーは戦場を離脱しフランスが前線の指揮にあたることになった。彼は自身の艦隊を率いて前線に出る、そして目の前にいる日本に対して言うのだった。
「ちょっとこっちも意地を見せないといけないからな」
「フランスさんですか」
「ああ、日本も元気みたいだな」
「お陰様で」
 戦場でも礼儀正しい日本だった。
「それではです」
「ああ、それじゃあやるか」
「お互い全力を尽くしましょう」
「今からな。全軍いいか」
 フランスは早速率いている全軍に指示を出した。
「鉄鋼弾が来る。回避運動に入れ」
「了解です」
「こっちも水雷攻撃を仕掛けるからな」
 やられっぱなしだけではないというのだ。そうしたことの指示をして。
 オフランス軍は全軍で太平洋軍が放つ鉄鋼弾攻撃に備える。そこにすぐにその鉄鋼弾が放たれてきた。
 オフランス軍は散開しその鉄鋼弾攻撃をかわそうとする。実際に正面からの鉄鋼弾攻撃はかわせた。オフランス軍の省兵達はまずはそれに安堵した。
「よし、何とかかわせているな」
「酸素魚雷も当たらなければどうということはないな」
「よし、ここは攻撃を凌いで」
「次は俺達だ」
 反撃を仕掛けようとする。だが。
 その反撃に移る瞬間に来た、側面からだった。
 いきなりその酸素魚雷が来た、駆逐艦の一隻が真っ二つになった。
「駆逐艦ガムラン撃沈!」
 悲報があがる。見ればその側面に太平洋軍が来ていた。
 サフランはその軍を指揮しながら言う。
「このまま前に進み」
「そしてだよね」
「そう。鉄鋼弾攻撃を続けるわ」
 こう副官役のアグニに告げる。二人もモニターで話をしている。
「このままね」
「機雷があったけれど」
 オフランス軍の撒いた機雷だ。確かにそれは撒かれたがそれでもだった。
 サフラン達の前にはない、既に潮流に流されていた。
 最早彼等の率いる軍勢にはない。サフランは何故機雷が流れたかも言う。
「機雷もまた潮流に流れるから」
「オフランス軍は僕達の足止めに機雷を撒いたんだろうけれど」
「潮流のところに撒いてしまったのよ」
 潮流の流れとその強さを知らない、これはビジーのミスだ。
「それでよ」
「そうだね。向こうはまさか潮流がここまで強いとは思ってなかったんだね」
「けれど祖国さんは知っておられたわ」
 インド洋はインドにとってはまさに家の池だ。知らない筈がなかった。
「この潮流の流れの筋と強さを」
「オフランスは知らなかった、この差だね」
「知っているということは力よ」
 情報、それはだというのだ。
「じゃあこのまま潮流から出て」
「全軍総攻撃だね」
「ではいいわね」
 サフランは淡々とだが戦局全体を見回しながら言う。
「敵軍の側面を徹底的に叩くわ」
「うん、それじゃあね」
 アグニもサフランの言葉に頷く。こうして別働隊は酸素魚雷を一斉に放ちそれで実際にオフランス軍を側面から叩いた、これは決定打になった。
「第十一艦隊壊滅!」
「第十五艦隊の損害が七割を超えました!」
「全軍の損害も三割に達しようとしています!」
「このままでは!」
 悲報が次々とあがる。しかもだった。
「撒布した機雷が後方に来ています」
「退路が遮断されようとしています」
「おい、絶望的な状況だな」
 前線で報告を聞くフランスは苦い顔で呟いた。
 しかも今度は艦載機の攻撃がまた来た。しかもそれは二手に分かれている太平洋軍の双方から来たものだった。
 これまでの倍以上の損害だった。それも受けてフランスは決断を下した。
「撤退するしかないな」
「そうされますか」
「ああ、もうどうしようもねえ」
 こう妹にも答える。 
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