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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
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第十五話『怒りのドレスコード』

 ネオゴルゴム神殿の広間ではエピメルがソフィルとリシュナルを叱責していた。
 「ソフィル、それにリシュナル!人間共のくだらぬ文化を利用した資金調達作戦は軒並み南光太郎によって妨害された!だから俺は言ったんだ!そんなくだらないものを利用せず、都市部の銀行を軒並み襲撃すれば人間共にネオゴルゴムの名前と逆らうことの愚かさを教えてやることができると!大体、有象無象達から巻き上げられる金額などたかが知れているだろ。」
 エピメルは破壊工作と襲撃作戦の方が効率的だと言う。
 「これだから壊すことしか頭にない無能は困るのよ。そもそも、あんたは1度でも作戦の立案をしたことがあったかしら?前線に出向くときはいつだって私やソフィルの作戦に便乗したいときだけ。それに、私達の存在が大々的に有名になれば、世界各地に散らばった仮面ライダー達が集結してしまうわ。ただでさえ南光太郎1人に苦戦しているのに、これ以上仮面ライダーが増えれば、それこそネオゴルゴムの存続に関わってくるわ。」
 「如何にも。出会った者は悉く葬られ、データすら残っていないダブルライダー、その力の殆どが明かされていないアマゾンライダー、超電子の力を操るストロンガー、貴様を遥かに超える力の持ち主であるスーパー1、究極のメカニカルサイボーグであるZX、更にはオーバーテクノロジーの領域にいるバイオサイボーグのネオライダーズ。彼らの1人でも日本に現れれば今の均衡すら簡単に崩される。」
 しかし、そんなエピメルの力説もリシュナルとソフィルの言葉によって返り討ちに合う。
 「お前達、くだらぬ言い争いはやめぬか!まずはこの日本を掌握し、ネオゴルゴムの拠点にするのではないのか!」
 そんな言い争いを見ていたクリムゾンエクリプスは一喝する。そんなとき、
 「リシュナル様、次の作戦は俺にやらせてくれ!」
 クジャク怪人が現れ、リシュナルに直談判をする。
 「貴様、クリムゾンエクリプスの御前で何と言う無礼を!身を弁えろ!」
 クジャク怪人の行動にソフィルは怒るが、
 「まあ良いではないか。自ら実行に移るために直談判しに来る心意気は気に入った。リシュナル、クジャク怪人のサポートを怠ることのないようにな。」
 クリムゾンエクリプスは納得し、クジャク怪人の出撃を許可した。
 「クリムゾンエクリプス様、ありがとうございます!」
 クジャク怪人は1枚のチラシを投げ捨てて広間から出ていく。そのチラシはあるコスプレイヤーの撮影会を告知するものだった。

 数日後、都内某所の会場にて少年コスプレイヤー、レナの新作写真集の発売を記念した撮影会が開催されていた。
 「皆さん、本日はお集まり頂き、ありがとうございます!」
 司会による挨拶は早々と終わり、撮影会は順調な進行を迎えたように思えた瞬間、会場の窓ガラスが爆発し、孔雀怪人が現れ、レナ目掛けて鋭く尖った羽根を模した棒手裏剣を投げるが、手裏剣は見当違いな方向へ飛んでゆく。
 「チッ!」
 クジャク怪人は自分の練度の低さが原因で命中させることができなかったにもかかわらず、舌打ちをしながら羽根型の小型爆弾をばら撒いて会場を爆破させる。
 「ははは…」
 クジャク怪人は乾いた笑い方をしながらレナを追いかける。
 「来ないで!」
 レナの抵抗も虚しくクジャク怪人はレナの首を掴んで持ち上げる。
 「助…けて…!」
 レナは声を振り絞って助けを呼ぶ。その時、
 「変身!」
 騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた光太郎がRXに変身しながら現れ、クジャク怪人に蹴りを見舞わせて吹き飛ばし、クジャク怪人が手を離して解放されたレナをRXは抱きかかえる。
 「早く逃げるんだ!」
 「ありがとうございます!」
 RXはレナをおろして逃げるように伝え、レナは礼を言ってその場から逃げる。
 「ネオゴルゴム、何が目的だ!」
 「お前には関係ない!」
 RXの問いかけなど問答無用と言わんばかりにクジャク怪人は羽根型爆弾をRXに投げ付け爆発させるが、RXには大したダメージを与えることができずにいた。
 「クジャク怪人、独断行動をするなと言ったはずよ!ここは退きなさい!」
 そこへリシュナルが駆けつけ、突風を巻き起こして目くらましを行い、クジャク怪人とともに撤退する。
 「逃したか!」
 光太郎は変身を解除して帰ろうとする。すると、
 「先程はありがとうございました。」
 レナがやってきて頭を下げる。
 「こら、レナ!助けてくれた人なんだからもっとしっかりお礼を言いなさい!」
 その後ろから司会の男も現れレナを叱る。
 「大丈夫ですよ。それより、どうしてネオゴルゴムに狙われていたのですか?」
 光太郎は司会の男に質問する。
 「それが、こちらも突然のことで何がなんだかわからないのですが、もしかしたらあの事と何か関係があるのかもしれません。」
 「あの事、ですか?」
 「立ち話もあれですから、どこか落ち着いて話せる場所はないでしょうか?」
 「それなら、俺が経営している喫茶店でどうでしょうか?この時間帯なら客足も引いていますので。」
 「それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」
 司会の男は心当たりを感じ、光太郎とともにキャピトラへ向かった。

 「クジャク怪人!何故あんな人目につきやすい行動をした!おかげで南光太郎に目をつけられたではないか!」
 ネオゴルゴム神殿内部でリシュナルはクジャク怪人を叱責していた。
 「あいつだけはこの手で殺したかった。その為にリシュナル様のスカウトを受けてネオゴルゴムのメンバーになったと言ってもいい。」
 「そこまで言うなら次に出るときには必ず仕留めなさい。その代わり、目的を果たしたならすぐに仮面ライダーBLACK RXと戦いなさい。」
 リシュナルはクジャク怪人の意思を汲み取り、クジャク怪人に指示を出す。
 「畏まりました。」
 クジャク怪人は一礼して広間から出ていく。
 「綺麗な顔立ちだからスカウトしてみたはいいものの、中身は我儘、その上男だなんて思っても見なかったわ。これはしくじったわね。」
 クジャク怪人がいなくなり、リシュナルは独り言を言いながらため息を吐いた。

 キャピトラへ入った光太郎達は司会の男と話そうとしていた。しかし、
 「杏子ちゃん、この子可愛くない?」
 「まるでお人形さんみたいよね!」
 玲子と杏子はレナを見て童心に帰っていた。
 「そう言ってもらえると嬉しいです。ボク、学校では女みたいって馬鹿にされていて、こっちの世界で素性を隠して活動しないと、自信が持てなくて…」
 レナは暗い表情を見せる。
 「そんなことないわよ。アニメやゲームの女の子の服装が似合うって、一つの才能なんだからもっと誇っていいものよ!」
 玲子はレナを元気づける。
 「そんな、ありがとうございます…」
 レナは玲子に礼を言う。
 「それで、先程言っていたあの事、とは?」
 光太郎は本題に戻す。
 「実は、1年半ほど前から少年コスプレイヤーが失踪する事件が相次いでいまして。既に7人も行方不明者が出ているんです。」
 司会の男は話す。
 「お父さん、そんな簡単に話していいの?」
 レナは司会の男─レナの父に質問する。
 「大丈夫だよ。この人はレナを、ジュンを命がけで守ってくれたんだ。それに、南さんは仮面ライダーなんだ。怪人をやっつけて、平和を守ってくれるんだ。」
 レナの父は光太郎とレナを司会に入れながら話す。
 「仮面ライダーに信頼を寄せてくれるんですね。」
 光太郎はレナの父に言う。
 「実は、レナが生まれる数年前に、アンデッドっていう怪物に襲われたことがありまして、その時に仮面ライダーに助けてもらったんです。だから、仮面ライダーは人々を守ってくれていることを知っているんです。」
 レナの父はかつて自身の身に起きた出来事を話す。
 「そうだったんですね。」
 光太郎が納得していると、玲奈のスマートフォンにコミュニケーションアプリからの通知が入る。
 「えっ!?」
 通知を見たレナは驚く。
 「どうしたんだ、レナ!?」
 レナの父はレナに質問する。
 「メグミからの通知で、今から会いたいって。」
 「でも、メグミ君は連続失踪事件の最初の被害者じゃないか。どうして。」
 レナの話を聞き、レナの父は驚く。
 「何かの罠かもしれません。」
 「ええ。なので、南さんを一緒に来ていただけないでしょうか?」
 「わかりました。行きましょう。」
 レナの父からの頼みを受け、光太郎は2人とともに約束の場所へ向かった。
 「久しぶり、レナ。」
 約束の場所にはすでにレナのコスプレ仲間である少年、メグミがいた。
 「メグミ、無事だったんだね!」
 レナは泣きながらメグミに近づく。
 「そりゃ、無事に決まっているだろ。」
 メグミは不気味な笑みを浮かべる。
 「メグミも他の被害者みたいに帰ってこないと思っていたから、嬉しくて!」
 「他の奴ら?あいつらと一緒なわけ無いだろ。あいつらを殺したの、俺だし。」
 メグミの言葉を聞いてレナは立ち止まる。
 「どういうこと…?」
 メグミの言葉にレナは戸惑う。
 「俺以上に綺麗な奴は邪魔なんだよ。俺が一番綺麗であり続けるためには、邪魔な奴は消す。お前は俺の手で絶対殺すって決めていたんだよ!」
 メグミはクジャク怪人の姿に戻る。
 「嘘…」
 レナはクジャク怪人の姿に怯える。
 「やはりそういうことだったか!」
 2人の間に割って入るように光太郎が現れる。
 「仮面ライダー、お前の始末もリシュナル様に頼まれている。丁度いい。まずはお前から倒す!レナはそこで頼みの仮面ライダー様が俺にやられるところを見ていろ!」
 クジャク怪人は仕掛けてくる。
 「変…身!」
 光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎は、仮面ライダーBLACK RXへと変身するのだ。
 「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」
 「やれ、クモ怪人!」
 RXの名乗りを聞いたクジャク怪人はクモ怪人達をけしかける。
 「行くぞ!」
 RXはパンチを連続で放ち、クモ怪人達をまたたく間に撃破してゆく。
 「無能共だな!俺が直接相手になってやる。」
 クジャク怪人は羽根型爆弾でRXを攻撃するが、RXは華麗に回避する。
 「勝負だ!」
 RXはクジャク怪人めがけて走り出すが、
 「誰が正々堂々戦うかよ!」
 クジャク怪人は羽根をばら撒き、光の反射を利用して姿を隠す。
 「どこだ!」
 RXは突然のことに驚き周囲を見渡すが、羽根による光の反射にRXは惑わされそうになるが、後方から飛んでくる羽根手裏剣の音を聞き、
 「そこだ!」
 羽根手裏剣を撃ち落とし、風で羽根の角度が変わったことにより隠れていたクジャク怪人は姿を現す。
 「しまった!」
 クジャク怪人はとっさのことに判断が鈍る。
 「今だ!」
 その隙をRXが逃すことはなくジャンプし、
 「RXキック!」
 RXは必殺のキックを炸裂させ、クジャク怪人は爆発しながら蒸発する。
 「メグミ…」
 レナは泣き崩れる。
 「仕方がない事だよ、ジュン。南さんが倒さなければ、ジュンが殺されていたんだ。父さんはジュンが無事でよかった。」
 そんなレナをレナの父は抱き締めていた。友との決別は、悲しきものがある。しかし、それを乗り越えることで一つの成長も生まれる。光太郎は信彦との思い出を胸に、クリムゾンエクリプスから月のキングストーンを取り戻す決意を一層固めるのだった。
 続く

 次回予告
 ソフィルの呪術によって地獄の底から怪人軍団が蘇り、人々を襲う。光太郎1人で対処できず苦戦している中、仲間達が駆けつける!『ライダーの絆』ぶっちぎるぜ! 
 

 
後書き
 怪人図鑑
 クジャク怪人
 身長:158cm
 体重:47kg
 能力:羽を使った様々な戦術
 孔雀の性質を持つネオゴルゴム怪人。人間態はコスプレイヤーとして活躍していた少年、メグミであり、ライバル視していた仲間達を襲っていた。羽根を利用した戦術を得意とし、爆撃用の羽根爆弾、鋭い刃で突き刺す羽根手裏剣、自身を透過させる羽根隠れ等を駆使する。 
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