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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第152話

~???~



「あ………………」

「勝ったん……だよ……な……?」

”空の女神”に勝利したという偉業を成した事に仲間達がまだ頭が追いついていない中アリサは思わず呆けた声を出し、マキアスは呆然とした表情で呟き

「フフ、見事成し遂げたようだな。」

「ええ……!ハハ、セプト=グリモア達との戦闘を終えたら加勢するつもりでしたけど、その必要も無かったみたいですね。」

「残念ながらね。フウ、”空の女神”との”死合い”にも心惹かれていたんだけど……ま、いいかな。”今の自分自身との死合い”で”全て出し切って”満足したからね。」

アリサ達を感心した様子で見つめながら呟いたオーレリア将軍の言葉に力強く頷いたリィンは苦笑し、リィンの言葉に苦笑しながら同意したシズナは満足げな笑みを浮かべた。

「エイドス……!」

「大丈夫かい………!?」

一方エステル達と戦闘をしていたフィーナとアドルは戦闘を放棄してエイドスの元へと駆け寄り、ケビン達星杯騎士達もそれぞれ戦闘を放棄してエイドスの元へと駆け寄った。



「いたた………このくらい平気ですよ。”現役時代”はそれこそ今のよりもっと威力がある攻撃を受けた事もありますし。――――――ティア・オル。」

フィーナ達に心配されたエイドスは痛みに顔をしかめながら起き上がった後自身に治癒アーツをかけてダメージを完全回復させ、エイドスのとんでもない発言にその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「お疲れの所、誠に申し訳ないのですがエイドス様。御身の”試練”の結果をお教え頂いてもよろしいでしょうか?」

「結果も何も、見ての通り私は今魔法陣の外にいるのですから、”合格”ですよ。」

バルクホルンの問いかけにエイドスは溜息を吐いた後”試練”の結果は”紅き翼の合格”である事を告げた。

「ご、”合格”って事は………」

「”ゼムリア連合”の調印式にエイドス様ご自身が立ち会う事を承諾されたという事でいいのですか?」

エイドスの答えを聞いたエリオットは呆けた表情で呟き、オリヴァルト皇子は真剣な表情でエイドスに訊ねた。



「ええ。”この試練で私に見せて欲しかったもの”も見せて頂けたのですから、”試練”は文句なしの”合格”です。”ゼムリア連合”の調印式の立ち合いの要請に私――――――”空の女神”エイドス・クリスティン・ブライトが応じた事をこの場で宣言致します。アインさん、後で七耀教会の教皇の方々にも伝えておいてください。」

「承知。」

オリヴァルト皇子の確認に対して答えたエイドスはアインに視線を向けて声をかけ、エイドスに声をかけられたアインは会釈をして答えた。

「ヤッ…………タ――――――ッ!!えへへ、ボク達Ⅶ組……それとアー・ミー・クー・ガー最強カルテットの勝利だね、アーちゃん♪」

「ですから、その名称には激しく異議があるのですが……まあ、ここは空気を読んで不問にしておきます。」

「―――――」

そしてミリアムは喜びの声を上げた後無邪気な笑顔を浮かべてアルティナに声をかけ、声をかけられたアルティナは呆れた表情で答えた後苦笑し、クラウ=ソラスはアルティナに続くように機械音を出した。

「やったね。」

「ああ、何とか成し遂げる事ができたな。」

「ハッ………」

「フン、当然の結果にはしゃぎ過ぎだ。」

「空の女神相手でもそんな態度を取れるなんて、君のそのブレなさは呆れを通り越して感心するぞ…………」

フィーとラウラはハイタッチをしてお互いの勝利を喜び、アッシュは鼻を鳴らして静かな笑みを浮かべ、鼻を鳴らして静かな笑みを浮かべて呟いたユーシスにマキアスは呆れた表情で指摘した。



「そういえばエイドスさん。”この試練でエイドスさんがオリヴァルト皇子達に見せて欲しかったもの”と言っていましたけど、それって何だったのですか?」

「それは”今の光景そのもの”ですよ。」

「エイドス様が”オレ達に見せて欲しかったものとは今の光景そのもの”……?」

「……恐らくだけどエイドス様は貴方達――――――いえ、私達”現代のゼムリアを生きる人々”に示してほしかったのだと思うわ。例えこの先現代のゼムリアに大きな問題が発生したとしても、ゼムリアの人々は”国”や”組織”の関係での様々な”しがらみ”を乗り越えて共に協力して乗り越える光景を。――――――そうではありませんか?」

エレナの質問に答えたエイドスの答えが気になって不思議そうな表情を浮かべたガイウスの疑問に自身の推測を答えたルフィナは静かな笑みを浮かべてエイドスに確認した。

「ええ。――――――”新たな時代が訪れる事になるゼムリアの恒久的な平和を目指すゼムリアの人々が示す資格”としてピッタリだったでしょう?」

「エイドス………」

「そうか………エイドスさん自身もそうだけど、セプト=グリモアというオリビエさん達だけじゃ絶対に敵わないと思えるほどの戦力をオリビエさん達にぶつけたのは、今のゼムリアの人々が”自分達だけでは絶対に乗り越える事ができない相手や問題”を乗り越える為に”国”や”組織”の関係による”しがらみ”があっても共に協力し合う事を示す事がクレハが言っていたエイドスさんがオリビエさん達に示して欲しかった”真の意図”だったんだ……」

「ええ。”試練”に人数制限を設けなかった事や”試練”を始める前にエイドスは彼らに試練に挑むメンバーの確認をした事がエイドスの”真の意図”に彼らが気づけるかどうかのヒントだったのだと思うわ。」

「”試練”を始めてしまえば、援軍を呼ぶ事も無理だとわかっていたから、”試練”を始める前にわざわざメンバーの確認をしたんやろうな。」

「という事は試練の最中にエステル達が援軍に来たことはエイドスにとっても予想外だったの?」

ルフィナの推測に頷いた後優し気微笑みを浮かべて答えたエイドスの答えを聞いたフィーナは微笑み、ある事に気づいたナユタの言葉にクレハは頷き、ケビンは静かな表情で推測し、ノイはエイドスに訊ねた。



「それについては”乙女の秘密”か”女神のみぞ知る”、ですよ♪」

ノイの質問に対して笑顔で答えたエイドスの答えにその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「め、”女神のみぞ知る”って……」

「”空の女神”であるエイドスさんが言うと洒落になっていませんよね。」

「というか”乙女の秘密”はこういう場面で使う言葉じゃないわよ。」

「ティ、ティオちゃん。」

「まあまあ……」

我に返ったロイドは苦笑し、ティオとエステルはジト目で指摘し、エイドスに対して遠慮なく指摘したティオにエリィは冷や汗をかき、ヨシュアは苦笑しながらエステルを諫めようとし

「全く、それならそうと最初に言っておけばいいものを。言葉遊びで人を試す等、趣味の悪い女神じゃの。」

「いや、それに関してはアンタも他人(ひと)の事は言えないわよ。」

「それを考えると空の女神の眷属である婆様が”主”である空の女神に似ている事も納得よね。」

「ア、アハハ……」

呆れた表情で呟いたローゼリアの言葉を聞いたセリーヌはジト目で指摘し、クロチルダはからかいの表情で指摘し、二人の指摘にエマは苦笑していた。



「クク、しかし最後の一撃が異世界の竜とかつて”至宝”だったものの力とは、ゼムリアの人々が協力し合う力を見たかった貴女にとってはある意味皮肉かもしれんな。」

「そ、総長……」

「あの~、そこは突っ込んではいけないと思うのですが……」

可笑しそうに笑いながら指摘したセルナート総長の指摘にロジーヌが表情を引き攣らせている中、トマスは表情を引き攣らせながら指摘した。

「フフ、別に私はそんな細かい事は気にしていませんから大丈夫ですよ。――――――それよりもその”紅の騎神”――――――テスタ=ロッサでしたか。どうやら呪いの”枷”によってコアに宿っていた”意思”が失われているようですが…………―――――これは私の試練を完璧に乗り越えた”褒美”です。」

セルナート総長の指摘に対して苦笑しながら答えたエイドスはふとテスタ=ロッサに視線を向けてテスタ=ロッサの状態を察した後テスタ=ロッサに向けて片手を向けた。するとテスタ=ロッサに向けたエイドスの片手から神々しく輝く光の球が発生した後光の球はテスタ=ロッサの(ケルン)に宿った。

「エイドス様?一体何を……」

「”空の女神”の力の一片を”紅”に吸収させたようだけど……一体何の為に………――――――!まさか……」

エイドスの行動にリースが不思議そうな表情でエイドスに訊ねている一方、エイドスの行動について考えた後ある推測をしたクロチルダが血相を変えたその時

「――――なるほど。これが”空の女神”の”褒美”か。」

「今の声はまさか……」

「テスタ=ロッサ……!君が喋ったのか……!?」

何とテスタ=ロッサが喋り、その事に驚いたその場にいる全員がテスタ=ロッサに注目している中クルトは驚きの表情で呟き、セドリックは信じられない表情でテスタ=ロッサに話しかけた。



「うむ……現界では久しい――――いや、”初めまして”になるな、セドリック。”空の女神”の力によって呪いの枷をようやく外す事ができた。」

「………ぁぁ……ッ!」

「フフ、よかったわね、セドリック。」

「紅の騎神の呪いを解いて頂いた事――――――心より感謝を申し上げます、エイドス様。」

テスタ=ロッサの話を聞いて嬉し涙を流しているセドリックをアルフィンは微笑ましそうに見つめ、オリヴァルト皇子はエイドスを見つめて頭を深く下げた。

「ふふっ、大袈裟ですね。――――さてと。”試練”も終了しましたし、戻りましょうか。」

オリヴァルト皇子の感謝に苦笑したエイドスが指を鳴らすとその場にいる全員はユミルへと入る入口前に転位した。



~ユミル・出入口~



「ここは………ユミルの出入口か。」

「あれ?確かルクレツィアさんが空間の亀裂を作ってミント達が飛び込んだ時の場所は”鳳翼館”だったよね?何で”鳳翼館”じゃなかったのかな?」

見覚えのある周囲を見回したリィンは呟き、ある事が気になったミントは首を傾げて疑問を口にした。

「こんな大人数を宿に転位させたら、転位した場所が私達によってすし詰めになる事が目に見えていましたので、こちらに転位したのですよ。」

「確かにこんな大人数が鳳翼館のロビーに入りきらないものね。」

エイドスの答えを聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中サラは苦笑しながら同意した。

「さてと………緊急支援要請も果たした事だし、俺達はそろそろクロスベルに戻るよ。ワジ、君のメルカバでクロスベルまで送ってもらってもいいか?」

「お安い御用だよ。」

「俺達もここで失礼させてもらうよ。」

ロイドの言葉にワジが頷き、ロイドに続くようにリィンが解散の言葉を口にしたその時

「え―――ッ!もう、帰っちゃうの~!せっかく、みんなであの”空の女神”に勝ったんだから”祝勝会”をしようよ~!」

「ミ、ミリアムちゃん……ご本人を目の前でそんな提案はしない方がいいと思うのですけど……」

ミリアムが不満げな表情で声を上げてある提案をし、ミリアムの提案を聞いたエマは冷や汗をかいてエイドスを気にしながらミリアムに指摘し

「私も今回は”紅き翼”に賛成かな。せっかく温泉郷として有名なユミルまで来たんだから、老師(せんせい)も絶賛していたユミル名物の温泉で汗を流すくらいはしてもバチは当たらないのじゃないかな。」

「姫………温泉でしたら、龍来(ロンライ)に行けばいつでも入れるではありませんか。」

ミリアムに続くようにシズナも不満げな表情でリィンに指摘し、シズナの指摘を聞いたクロガネは疲れた様子で頭を抱えてシズナに指摘し

「それはそれ、これはこれだよ♪それに灰獅子隊の面々もユミルの温泉を体験したのに、後から加入した私達だけ体験していないのは不公平じゃないかな。ヴァンとリタもそう思うだろう?」

「……まあ、俺はサウナ派だが、温泉も好む方だ。――――――ましてや、ユミルの露天風呂は有名だからな。是非ゆっくりと浸かりたいぜ。」

「フフ、私もできれば体験させて欲しいですね。」

クロガネの指摘を軽く流したシズナはヴァンとリタに話を振り、話を振られたヴァンとリタはそれぞれシズナの意見に同意する答えを口にした。



「あっ!それなら、いっそここにいるみんなで”交流会”も兼ねて決戦前の”壮行会”をしたらどうかな?みんな、お互いに話したい事もあると思うし。」

「あら、それはいい提案ですね♪でしたら、私に勝った皆さんへの褒美という事で費用は全額私が工面してあげますね。――――――という訳で、教会の上層部の方達に今回の”壮行会”の費用全額を工面するようにと私が”勅命”を出したことを伝えておいて下さいね♪」

「ちょっ、自分で工面すると言っておきながら全部教会(オレら)に丸投げで、しかもそんなことの為に”勅命”するとか完全に職権乱用じゃないですか!?」

「ふふっ、エイドスは女神だから、この場合”神権濫用”と言うべきなんじゃないかい?」

「エイドス様はクロスベルのカジノで荒稼ぎをしたミラがまだ残っているのですから、わざわざ教会(わたしたち)に費用を出させなくても、エイドス様ご自身で出せると思うのですが……」

「リース……よりにもよってその件をここで口にするのは不味過ぎるわよ……」

一方ある事を思いついたエステルの提案にエイドスは笑顔で同意した後セルナート総長達星杯騎士達にある指示をし、エイドスの指示内容を聞いたケビンは表情を引き攣らせてジト目になったリースと共に反論をし、ワジは呑気に笑ってケビンに指摘し、リースの指摘を聞いたルフィナが疲れた表情で頭を抱えるとエイドスがカジノで荒稼ぎをしたというとんでもない事実を知った事情を知っているアドル達やロイド達特務支援課の面々を除いてその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「エ、エイドス様……そ、”空の女神”が賭け事を……?」

「ハ~~~~ッ!?”空の女神”がカジノで荒稼ぎしたとか、マジかよ!?」

「いや~、運からも寵愛されているとはさすがは”空の女神”であられるエイドス様ですね。」

「……今の話は初耳ですね。――――――どうやらケビン達にはエイドス様に関連する事で私達に報告していない内容について、後でじっくりと聞かせて頂く必要がありそうですね。」

「クク、私達に報告していない―――いや、”できなかった内容”だろうだから、上層部の連中が知れば卒倒する内容ばかりかもしれぬな。」

「当時の状況を考えれば、”元凶”は恐らくワジだろうな。」

我に返ったロジーヌは混乱した様子で呟き、セリスは信じられない表情で声を上げ、リオンは興味ありげな表情でエイドスを見つめながら静かな笑みを浮かべ、トマスは頭痛を抑えるかのように片手で頭を抱えながら顔に青筋を立ててケビン達を見つめ、セルナート総長は可笑しそうに笑い、バルクホルンは疲れた表情でワジに視線を向けた。



「ったく、あの様子だと他にも色々と”やらかして”いるんじゃねぇのか、あの”自称ただの新妻”は。」

「ア、アハハ………それらを間近で目にしていたケビンさん達は気苦労が絶えなかったでしょうね。」

呆れた表情で呟いたアガットの言葉に続くようにティータは苦笑しながら呟き

「クスクス……ちなみにエステル、”ここにいるみんなで壮行会をする”って提案したけど、その”みんな”の中には”結社”の人達も含まれているのかしら?」

可笑しそうに笑っていたレンは興味ありげな表情でブルブラン達”結社”の面々に視線を向けた後エステルに確認した。

「モチのロンじゃない!――――――というか戦争前に”結社”は事実上崩壊したし、そんな状態の結社を先に抜けた”怪盗紳士”達もそうだけど崩壊状態の結社にまだ残っていた”執行者”達も全員結社から抜けたんだから、別に気にする所なんてどこにもないじゃない。」

「いや、他にも色々気にするところがあるから。」

「あ、あはは………久しぶりに出たね、エステルちゃんのその凄い所が。」

「ハハ、さすがカシウスの旦那の娘だけあって――――――いや、既に旦那以上の”器”の持ち主かもしれんな。」

「ええ。何せエステルさんが切っ掛けでセリカ様とサティア様もそうですが、エクリア様やお父様達も救われ、それぞれ和解されたのですから。」

レンの疑問に対して答えたエステルのとんでもない発言にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ヨシュアは呆れた表情で指摘し、アネラスは苦笑し、感心しながら呟いたジンの言葉に頷いたプリネは微笑んだ。

「フッ、それでこそ我が挑戦に何度も応え、そして我が麗しの姫君達を我が手から阻んだ”英雄”だ。」

「クスクス、話に聞いていた以上に面白いお嬢はんやな~。」

ブルブランは髪をかき上げて静かな笑みを浮かべてエステルを見つめ、ルクレツィアは可笑しそうに笑いながらエステルを見つめた。



「え、えっと、エステルさん。”壮行会”をする事は反対ではないのですが、ユミルに突然こんな大人数の”壮行会”の為の食事を用意させるのは厳しい……いえ、正直に言って無理なのですが……」

「はい……食材もそうですが、料理人も圧倒的に足りませんし……」

「た、確かに……」

するとその時ある問題に気づいたエリゼが気まずそうな表情でエステルに指摘し、エリゼの指摘に続くようにエリスは困った表情で呟き、二人の話を聞いたリィンは冷や汗をかきながら呟いた。

「それならここにいるみんなで協力したらいいじゃない!食材の買い出しはそれぞれの飛行艇や転位を使えばすぐだし、この中にいる料理ができる人達がみんなで協力すれば問題ないわよ!」

「ふふ、しかも私の”試練”の時のようにそれぞれの”立場”を越えて協力するのですから、正に一石二鳥ですね♪――――――という訳で、当然守護騎士の皆さんも手伝ってあげてくださいね?――――――勿論、これも空の女神(わたし)の勅命ですよ♪あ、それとロゼ2号も転位ができるのですから、当然食材の買い出しを手伝いなさいね♪」

エリゼとエリスが口にした問題点に対する解決案を答えたエステルとエステルの考えに同意したエイドスの答えを聞いたその場にいる全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「ちょっ、買い出しの為だけに”勅命”を出さないでくださいよ!?」

「アハハ!まさか守護騎士(ぼくたち)もそうだけど天の(メルカバ)を”パシリ”にするなんて、星杯騎士団始まって以来の”珍事”だろうね♪」

「よくワジ君はそんな呑気に笑っていられるよね……」

「相変わらずそいつの思考回路はどうなっているのか、わからねぇぜ……」

我に返ったケビンは疲れた表情で反論し、呑気に笑っているワジの様子にノエルとランディは呆れた表情で呟き

「総長、副長!空の女神の”勅命”とはいえ”守護騎士”のあたし達が”パシリ”とかマジで勘弁なんだから、”勅命”を撤回するようになんとか説得してくれよ!」

「クク、無駄だ。何せ枢機卿どころか教皇猊下すらも説得できない我らが主神だぞ?そんな我らが主神を説得等我らも含めてこの場にいる全員ができる訳がないだろう。」

「だからと言って最初から説得する事を放棄しないで欲しいのですが………」

「総長達が無理でしたら、バルクホルン先生はどうですか?」

「リオン、お主な………最初から無理だとわかっていて、わざと聞いているだろう……」

焦りの表情を浮かべたセリスの要求に対して呑気に笑いながら答えたセルナート総長の答えを聞いたトマスは呆れた表情で溜息を吐き、笑顔を浮かべたリオンに訊ねられたバルクホルンは疲れた表情で溜息を吐いて答えた。



「ええい!だから、妾にはもっとマシな呼び方があると言っているじゃろうが!というか、星杯騎士もそうじゃがヌシの眷属たる妾にそんな下らんことの為に命令を出す事等をすればヌシの”空の女神としての威厳”もそうじゃが、何よりも”いめーじ”が下がる事は間違いない事もわかっておるのか!?」

「え?どうして私が今まで貴女達が勝手に妄想していた”空の女神の威厳やイメージ”を守らないといけないんですか?そもそも私は”空の女神という名前自体が痛々しくて嫌なのに、いちいち訂正させるのもめんどうですから大変不本意ではありますが仕方なく受け入れているんですよ?”そんな私が”空の女神の威厳やイメージ”を守る”義務”なんてどこにもないでしょう?」

一方ローゼリアは疲れた表情で声を上げてエイドスに反論したがエイドスは心底不思議そうな表情でとんでもない答えを口にし、エイドスの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「貴女の事ですから、どうせそう言うと思っていましたわ………」

フェミリンスは呆れた表情で溜息を吐いて呟いた。

「ア、アハハ………でも、それでしたら買い出しついでにクロスベルで留守番をしているキーアちゃんも連れて来た方がいいかもしれませんね。」

「フフ、そうね。それにキーアちゃんもお料理は得意だから戦力になるし、何よりもキーアちゃんだけ仲間外れにする訳にはいかないものね。」

「うん!”仲間外れ”はダメだもんね!」

苦笑した後ある事を提案したリーシャの提案にエリィは微笑みながら同意し、キーア・バニングスは無邪気な笑顔を浮かべた。



その後様々な勢力の協力による”壮行会”がユミルで開かれ、それぞれ様々な勢力の人々との交流を深めた。



そしてその翌日、オズボーン宰相の指示によって帝都ヘイムダルの上空に地精の祖先が1200年前に築いた”最終相克”の舞台――――――”幻想機動要塞(トゥアハ=デ=ダナーン)”が顕現した。



”幻想機動要塞(トゥアハ=デ=ダナーン)”の顕現は灰獅子隊による黒の工房の本拠地の襲撃時のハッキングによる情報収集によって予め連合やヴァイスラントも想定できていた為、大きな混乱もなく、”表”と”裏”、それぞれの”最終決戦”についての話し合いをし、その結果三日後に帝都奪還と”幻想機動要塞(トゥアハ=デ=ダナーン)”への突入・並びに要塞内に待ち構えている”全ての元凶”とギリアス・オズボーン元宰相討伐が行われることになり、三日後である3月1日が訪れると”最終決戦”が始まろうとしていた――――――

 
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