おっちょこちょいのかよちゃん
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271 黒魔術に対抗できるもの
前書き
《前回》
藤木はりえにスケートをする姿を見せたくてスケートをしに雪山の氷河へと出発する。かよ子達はラ・ヴォワザンやモンテスパン公爵夫人と戦う。二人の黒魔術使いに対して法印大五郎は法然と共に法力で対抗する。だが、黒魔術で他の者に対しても融通を効かせて攻防を行う為、容易く攻略できないでいた!!
本部の管制室。まき子達は娘達が次の敵とぶつかっている所を確認した。
「かよ子達と次に戦っているのは誰なのかしら?」
「これは・・・」
イマヌエルは確認した。そこには赤い点が二つある。
「これは、黒魔術の使い手だ」
「黒魔術?」
「ああ、昔フランスで黒ミサなるものをやって毒殺などをおこなった者だ。その一人がラ・ヴォワザン。彼女はそれで火刑に処されたんだ。そして協力者のモンテスパン公爵夫人もそうだ。きっと山田かよ子君達もその二人と戦っているに違いない」
「ええ!?」
「そういえば以前にも山田かよ子君はラ・ヴォワザンと交戦している。黒魔術は危険すぎてとても厄介な魔術の一種だ。向こうには岡山という所から来たという高校生の島あけみ君、高崎ゆり子君、中本遥人君の三人、そして法然という僧がついている。法然と次郎長一派の一人、法印大五郎の法力が合わさって打ち破れるといいんだが・・・」
「そうよね。また杖を奪われるなんて事はないわよね・・・」
まき子は黒魔術についてふと気になる。
(黒魔術、まさか本当にあるなんて・・・。かよ子、打ち破れる方法はきっとあるわ・・・!!)
「イマヌエル。黒魔術に対抗できる最善の手段ってあるの?」
先代の杖の所有者は改めて平和を正義とする世界の長に質問した。
「そうだね・・・。白魔術というのがあるけど。それをあの杖で使えるようになるかまでは分からない。山田かよ子君の技量次第だが・・・」
イマヌエルは白魔術およびそれを元にした、または派生させた分野の使い手が平和を主義とする世界にはあまりいない事を把握していた。
(やはり既存の宗教の能力で撃退すべき、か・・・)
だからといって自分が前線に出るのは早計であると思い、イマヌエルはその場に留まり続けた。
かよ子達藤木救出班は岡山の高校生三人組と法然という僧と共闘でラ・ヴォワザンおよびモンテスパン公爵夫人と交戦を続けている。今、次郎長の子分の一人・法印大五郎と法然が共同で法力を発動し、ラ・ヴォワザンと公爵夫人の黒魔術に対抗していた。
「くう、我が黒魔術にここまで刃向かうとはよくも・・・!!」
モンテスパン公爵夫人は即死の術をなんとしても貫こうとする。
(どうすれば、いいんだろ・・・!?)
かよ子は困る。だが、指をくわえて見ている訳にもいかない。かよ子はモンテスパン公爵夫人に杖を向けた。しかし、杖の使用法が書かれていた書にも黒魔術に対抗して何の能力が得られるのか記されてもいない。その時、杖が白く光り出した。
「え、これは一体・・・!?」
「な、あれは・・・!?」
ラ・ヴォワザンもモンテスパン公爵夫人も驚く。そしてモンテスパンの術が次第に効かなくなっていった。
「何だあれは・・・!?」
その場にいた大野達も目を丸くして見ており、戦闘中である事を忘れてしまう程だった。
本部の管制室にフローレンスが戻って来た。
「はあ、はあ・・・。高速で戻ってきてまいりました」
「フローレンス!」
「捕虜を解放させましたのは痛手ではありましたが、赤軍達は何とか遠ざけさせました。しかし、それはただの方便でしてまた別の作戦を立てますと思います。気を抜けませんね」
「そうか、また領土を取り返そうとするかもしれないね」
「ところで、今、気がかりな所はございますか?」
「ああ、実は山田かよ子君達藤木茂君救出班がラ・ヴォワザンという黒魔術を使う女と交戦しているんだ。そこには更にモンテスパン公爵夫人という女とも交えている」
「黒魔術ですと!?」
フローレンスも黒魔術の脅威をある程度認知していた。杖の所有者達も一度は交戦しているとはいえ手強い事に変わりはない。
(山田かよ子ちゃん、乗り越えてください・・・!!)
雪山のある方角へ一行が進んでゆく。その中に夫婦となった藤木とりえがいた。二人は馬車の中で談笑しながら進む。
「あそこに氷河があるんだ。スケートリンクみたいに氷が張っててあそこの雪や氷は溶けないんだ。だならいつでもスケートが楽しめるよ」
「凄いわね。溶けない雪って」
藤木は到着が待ち遠しかった。
(さあ、りえちゃん、僕のジャンプやスピンを見たらなんて言うかな?)
藤木は自分のスケート技術でりえを見惚れさせたり、りえと一緒に滑って楽しい一時を過ごす所を妄想した。
かよ子の杖が白く光る。
「こ、これは・・・!?」
かよ子自身でも何かが理解不能だった。
「これは・・・。そうか。黒魔術の反対・・・。いわば白魔術でしょう」
法然が解説した。
「シロマジュツ?」
高崎が聞いた。
「黒魔術が人を害するものであれば、白魔術は人に益をもたらすもの。ここから医学および化学的な物質の製造に繋がったのです」
「そんな事して!?何になるのかな?」
ラ・ヴォワザンが能力を無効化させる毒を大量に散布した。ところが一切の能力が無効化されなかった。寧ろかよ子達の異能の能力が強まっているとさえ思われた。その時、賛美歌を演奏しているかのようなオルガンの音色が聞こえてきた。
「な、あああ!!」
ラ・ヴォワザンもモンテスパン公爵夫人も気が動転し始めた。
「す、凄い!」
かよ子は白魔術の凄さに自分でも驚かされた。だが、途中で白魔術を不意に解除させてしまった。
「あ・・・!!おっちょこちょいしちゃった・・・!!」
かよ子はおっちょこちょいをやってしまったと己を叱った。
「よし、皆の者、反撃の好機だ!!」
次郎長が呼びかけた。
「よし、皆、全ての石を纏めて使うぞ!」
大野はブー太郎、まる子に呼びかけた。
「うん!」
四つの石、それぞれの能力が行使され、ラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人を狙う。
「くう!」
モンテスパン公爵夫人が結界を発動させた。全てが防がれた。
「駄目だ、これじゃあ、倒せねえ!」
「どうやら、防御の術は無事なようね!」
だが、鎌鼬のような遠距離攻撃が無数に襲ってきた。結界が破壊されていく。
「な、これは!?」
「俺の攻撃だよ」
岡山の高校生・中本の勾玉による遠距離攻撃だった。更には関根の刀や法然・大五郎の法力で術が更に弱体化され、再び結界を出す事ができなくなった。かよ子は更に杖を持つ指先に神経を集中させた。
(白魔術、この杖で使えるならもう一度!!)
かよ子は白魔術をもう一度繰り出そうと試みた。
「今度はおっちょこちょいしないよ!!」
そしてもう一度杖が白く光る。そしてまたオルガンのような音色が聞こえてきた。
後書き
次回は・・・
「白魔術の凌駕」
かよ子の杖から白魔術が発動され、ラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人の黒魔術を無効化していく。劣勢と化してしまった黒魔術使いの二人は最後の足掻きを試みる。かよ子達はラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人を撃破する事ができるのか・・・!?
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