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X ーthe another storyー

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第九話 風使その十一

「やはり。そう考えますと」
「地の龍の皆にとってもね」
「特にあの人は」
 牙暁はまだ地の龍の集まりに来ていない草薙のことを話した、かれの誰よりも優しく温かい光を放つ目を思い出しながら。
「そうかと」
「まだ来ていない」
「はい、あの人は」
「そうでしょうね、とても優しい人らしいわね」
「そうです、そしてそれは」
「他の地の龍もね」
「本来のお心は」
 心根はというのだ。
「そうです」
「ええ、今いる三人そして貴方もね」
「僕もですか」
「優しいわね、颯姫と哪吒は自分では気付いていないけれど」
「根にあるものは温かく」
「そして優しいわ」
「それ故に」 
 そうした心根だからだというのだ。
「どの方も多くの命を滅ぼすよりは」
「私がそう思っているのなら」
「いいとなる筈です、少なくとも僕は」
 牙暁は自分はと話した。
「間違いなくです」
「そう思ってくれているのね」
「はい」
 そうだというのだ。
「僕は決してです」
「人間が滅ぶことは望んでいないわね」
「地の龍ですが」
「それでもよね」
「そう考えています、ですから」
「私の考えはいいのね」
「僕に出来る限りです」 
 庚にこうも言った。
「協力させて頂きます」
「そうしてくれるのね」
「そして是非です」
「姉さんを」
「お救いしましょう」
「感謝するわ、殆ど誰も気付いていないけれど」
 それでもどだ、庚は自分に協力を約束してくれた牙暁に話した。
「姉さんはね」
「お一人ではないですね」
「本来の姉さんは水の様で」
「穏やかで優しく」
「澄んでいるけれど」
 丁、彼女はというのだ。
「けれどね」
「もう一人の方は」
「全く逆よ」
「言うなら火ですね」
「ええ、その姉さんをね」
「どうにかして」
「そして夢見の苦しみからも」
 それからもというのだ。
「必ずね」
「解き放ちますね」
「そうするわ、それがね」
 まさにというのだ。
「私の願いだから」
「はい、そうしていきましょう」
「ただ人間は」
「僕達が勝てばです」
「滅ぶわね」
「はい」
 そうなるとだ、牙暁は答えた。
「やはり」
「東京の結界を全て壊して」
「世界を護るそれを」
「そうなるとね」 
 まさにというのだ。 
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