乱火
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第一章
乱火
乱れに乱れている。
それが今の私だった、もう考えることが散り散りで燃え上がっていてそれこそどうしようもなくなっていてだ。
考えがまとまらない、それで会社帰りに同じ課で同期友人に言った。
「腹が立ってるっていうか熱くなってそれでいて考えが全くまとまらなくて」
「それでなの」
「どうしていいかわからないわ」
「そうした時は飲んだら?」
友人は私にこう提案してきた。
「そうしたら?」
「お酒飲むの」
「飲んだらかえって気持ちが落ち着くでしょ」
「そうね、飲み過ぎたらもう考えるどころじゃないけれど」
「その時はその時よ」
友人は笑ってこんなことも言った。
「だからね」
「今は飲むの」
「食べ放題飲み放題のお店知ってるわよ」
「そこでとことん飲めっていうのね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「考えたら?」
「飲み過ぎて考えられなくなる前に」
「少なくとも気分転換になるでしょ」
「そうね、飲んだらね」
私もそれはと答えた。
「じゃあそのお店紹介して」
「そうするわね」
友人は私の言葉に笑顔で答えてくれた、そうしてだった。
一緒にその居酒屋に入った、そして居酒屋のメニューを適当に頼んで一緒にビールをジョッキで飲んでだった。
ある程度お酒が進んだ時にだった。私は彼女に話した。
「実は付き合ってる彼氏が最近プロポーズしようとしてるの」
「いいことじゃない」
「けれど何か妙に寸前で怖がったりして思わせぶりな風になったら」
そう思ったらだ。
「お話逸らしたりするのよ、雰囲気のある場所でね」
「あんたの彼氏結構何でもすぐに決めて動くでしょ」
「普段はそうなのに」
それがだ。
「今回はね」
「勇気を出さないで」
「怖気付いてね」
そうしてというのだ。
「そんな風なのよ」
「そうなのね」
「それで何時何処でって思ったりして苛立つし待ち遠しいし」
それにだ。
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