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夢幻水滸伝

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第二百八十六話 ペンシルバニア州侵攻その十一

 メアリーは自軍を撤退させた、その際だった。
 ピッツバーグに向かう場所にだ、自分で出てメデューサの首を出してそのうえで敵の将兵達を石化させんとした。だが。
 その前にだ、彼等は。
「道を空けたか」
「わざと逃がすのですか」
「そのつもりですか」
「敵が」
「そうさせてな」
 メアリーは敵の動きを察して話した。
「追撃を仕掛けるつもりやな」
「左様ですね」
「では追撃に対してですね」
「備えが必要ですね」
「そや、私が後詰を務めると言ったけどな」 
 それでもと言うのだった。
「しかしな」
「それでもですね」
「敵がそうしてくるなら」
「それならですね」
「何があってもな」 
 それこそというのだ。
「皆逃がす、安心して逃げるんや」
「わかりました」
「ではです」
「今より逃げます」
「逃げられんモンは大人しく投降するんや」
 こうもだ、メアリーは話した。
「命は無駄にするな、メルヴィルさんも国木田さんも無闇に殺生はせん」
「だからですか」
「逃げられないなら投降する」
「そうすればいいのですね」
「命は無駄にしたらあかん」 
 絶対にとだ、メアリーは言った。
「生き返ることは出来てもな」
「それでもですね」
「寿命でない限り生き返ることは出来ますが」
「無駄にな」 
 それこそというのだ。
「死ぬこともないやろ」
「そうですね、では」
「逃げられないとですね」
「投降してですね」
「捕虜になることですね」
「そや、ここはな」
 こう言うのだった。
「大人しくな」
「投降します」
「逃げられないなら」
「その時は」
「ああ、ほな撤退するで」
 こう言ってだった。
 メアリーは軍勢を全力で撤退させてだった。
 自らは後詰に入った、そしてだった。
 銃にメデューサの首を放った、首は自在に飛び碧達が率いる将兵達を石にしていく、瑠璃子達四人はそれを見て唸った。
「凶悪やな」
「えげつない神具やな」
「あんなんあったらな」
「そうは攻められへんな」
「そうじゃのう」
 碧も唸って言った。
「噂には聞いちょったが」
「はい、こうして目で見ますと」
「ほんまよおわかります」
「どんな威力か」
「それがよく」
「そうじゃのう、追撃を仕掛けたいが」
 それでもと言うのだった。
「あの首をそのままにしておくとじゃ」
「難しいですね」
「将兵がどんどん石化させらてるので」
「そやからですね」
「それもですね」
「追撃の采配は自分等に任せる」
 碧はここで断を下した。 
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