おっちょこちょいのかよちゃん
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264 護符を進化させる
前書き
《前回》
さりの護符と長山を奪いにトロツキーが襲来した。全員で懸命に迎撃して優勢になっていくと思いきや、赤軍の岡本と日高がトロツキーの援軍に来ていた。そして岡本が召喚した聖母マリア、そして日高が召喚したワラジムシにさり達は追いつめられる。そしてりえを探すあり達の元には鋼鉄の男・スターリンが襲来する!!
さりは今度こそは死ぬのかと絶望した。日高が召喚したワラジムシが異能の能力を全て喰らいつくし、無力化させてしまう。そしてワラジムシはさらに身体を巨大化させていく。
(もう駄目なの・・・!?)
戦争を正義を主義とする人間に赤軍の男二名。確かに手強い。だがこの護符はこの世界でも最上位に属する強さを持つ道具である。にも関わらずこれだけの強敵相手でも護符の能力では勝てないというのか。以前アンヌ王妃や赤軍の丸岡修という男と戦った時もテレーズが宝剣で防御していなかったら完全に死んでいた。また自分の力ではどうにもならないのか・・・。
(い、嫌よ、嫌よ!!ここで詰むなんて・・・!!勝ちたい・・・。もっと打ち勝てるようにしたい!自分の為にも、この世界の為にも、元の日常を取り返す為にも・・・!!)
さりはそう渇望した。テレーズと清正は護符の所有者の表情を見る。
(羽柴さりさん・・・。私達も護符の所有者のお力にならなければ・・・!!)
テレーズは宝剣をさりの護符に向ける。そして護符が光り出した。
「こ、これは・・・!?」
だがワラジムシに岡本が召喚した聖母マリアもさり達を抹殺しに掛かる。
「裁きを受けよ!」
マリアの裁きの光が襲う。そしてワラジムシもさりや長山達を踏み潰そうとした。
(私の宝剣よ、護符に力を与えてくだされ・・・!!)
その時、声が聞こえた。
《テレーズ、護符を強化させる為にはこの宝剣を使うのだ!》
(テレジアおばあさま・・・?)
あり達はスターリンと相対する。
「アイヌラックル、返り討ちよ!」
「良かろう」
アイヌラックルは雷撃を放つ。だがスターリンは鋼鉄の壁を出現させて防御した。
(くっ、俺の剣で奴の能力を無効化か弱体化させる事ならできるかもしれんが、それだとこの結界を解く事になる・・・。それでも加勢するか・・・?)
濃藤は葛藤する。
「濃藤君、守る方は私がやるわ。あの人の能力を無効化できる?」
「ああ、ありがとう、できるよ!」
濃藤は守備を奏子に任せて自身も攻撃に行く。
(あいつの鉄を使う能力をなんとかさせたい・・・!!)
濃藤はその願いを運命の剣に込めた。剣の先から炎が放たれる。鋼鉄の壁の強度が低下したのか、アイヌラックルの雷撃が強くなる。
「私も行くわ・・・!!」
鈴音が錫杖から火炎放射で鋼鉄を溶かす。スターリンは驚かされる。
「な、私の鉄が・・・。耐熱性を施してあったというのに・・・!!」
「よし、今だ!!」
阿弖流為と母禮が突進する。
「くう!!」
スターリンは巨大な槍で二人を突き刺そうと迎撃した。
「させんぞ!皆の衆、打ち消せ!」
「了解!」
アイヌの兵達が、スターリンが出した槍を止め、破壊する。みゆきがその隙にブーメランを投げた。投げたブーメランから光線が放たれスターリンの周囲で爆発を起こした。その威力は増していく。スターリンはまた新しい鉄の壁を出現させた。
「新しい壁を作ったか!」
濃藤は北勢田が作った人造人間に剣を向けた。人造人間のレーザー光線が強化される。スターリンが作った新たな壁を次々と破壊していった。そしてアイヌラックルがスターリンの真上から雷撃をお見舞いさせた。
日高、岡本、そしてトロツキーは留めを刺し、護符の所有者達は皆殺しで勝負はついたと思った。しかし、ワラジムシやマリアの所より光が見えた。
「何だ、あの光は!?」
そこに一人の巨大な天使が現れていた。
「我が名は大天使カマエル。この護符の所有者に力を貸す」
聖母マリアもワラジムシも全てが押されていく。そして青と橙の光も見えた。さきこの琥珀とサファイアが光っていたのだった。ワラジムシが小さくなっていく。そしてマリアもカマエルと交戦する形となっていく。そこには護符の所有者達も加勢していた。
「羽柴さりさん、貴女の護符に私の宝剣に宿る七つの天使の能力を分け与えました!これで打ち勝てば貴女の護符はもっも強くなれる筈です・・・!!」
「テレーズ・・・。うん!」
「くたばれ!!」
尾藤もボールをシュートさせた。炎を吹き出してマリアを襲う。その際、さきこのサファイアが光り出し、良好な機会を尾藤のボールに授けた。ボールがマリアの腹部に当たる。そしてボールの炎でマリアは燃えていく。
「ま、また我がマリア様が・・・!!」
「トロツキー、あいつらを早く始末しろ!!」
「あ、ああ!!」
トロツキーは早く護符の所有者達の身体をバラバラにすべく抹殺の術を行使した。しかし、何も起きない。
「な、何故だ!?」
「この琥珀でアンタの能力は吸い込ませて貰ったわよ!」
さきこの琥珀の能力がトロツキーの能力を吸収していたのだった。
「こっちからアンタの能力をそっくりそのまま使わせて貰うわ!」
さきこの抹殺の術が行使される。
(な、抹殺される!!)
トロツキーは危機を感じた。そして武装解除の術を使う。さきこの宝石達は無力化された。しかし、テレーズが出した神・カマエルとさりの護符の能力がトロツキーを、岡本を、日高を襲う。
「ちい、こいつら!!」
日高は火炎瓶を投げた。
「やられる訳にいかないわ!」
さりの護符がまた光る。大地が爆発した。そして水が湧き出て火炎瓶を大水で濡らす。この迎撃には日高も仰天した。
「こうなったら、貴様ら、なんとでもこっちの側につかせてやる・・・!!」
トロツキーは催眠攻撃を試みた。だが、効かない。護符の光が長山の眼鏡にも充てられていた。長山の神通力の眼鏡から金縛りの術が掛けられていた。
「その術はもう使わせないよ!!」
長山は金縛りと共に恐ろしさをトロツキーに根付けた。
(こ、この小僧・・・!!威圧の能力を持っているのか・・・!!)
「く、くそっ!皆の者、一先ず退散だ・・・!!」
トロツキーは退散の術を掛けた。岡本、日高も消えて行く。
「に、逃げるんじゃないわよ!」
さりは護符で拘束させる錠を出したが、既に遅く、三人ともその場から姿を消してしまった。清正の空間の槍を刺してもその場に引き寄せる事もできなかった。
「逃げるな、逃げるなあああ!!」
さりは無駄だと解っていながらも遠吠えした。
「逃げてしまったのは仕方ありません。しかし・・・」
テレーズの宝剣が光る。七色の光がさりの護符に移った。
「これは・・・!?」
「羽柴さりさんの強くなりたいという気持ちが護符に伝わったのです。トロツキーのような強敵にも屈しないほどの強さになりました」
「うん・・・」
さりは護符を見る。今まで白かった護符が七色になっていた。
「これは・・・?」
「この宝剣には七大天使が宿っています。その力を護符に分けて強化させたのです」
「そっか・・・。うん、ありがとう・・・!」
さりは倒し損ねた男を思い出す。
(トロツキー・・・、次会ったら絶対に倒すわよ・・・!!)
そして長山もトロツキーの事を思い出す。
(あの男・・・。一瞬で人を殺すなんて・・・)
長山もトロツキーの恐ろしさを改めて思い知るのだった。さり達はまた守備に付く。
ありが召喚したアイヌラックルの雷撃がスターリンを襲う。
「やった・・・!?」
しかし、スターリンは無傷だった。
「え・・・!?」
「バカすぎるな・・・。この私は無神主義なのだ!神の攻撃など通用するか!!」
「ふ、ふざけた奴が!」
悠一がテクンカネを発動させた。アイヌの兵団が強化される。対してスターリンは鉄の壁で防御し、また巨大な矛を飛ばしてあり達を襲った。
「わ、私が!!」
鈴音が錫杖で炎を出して迎撃した。濃藤の運命の剣の影響で炎が強化され、矛を破壊していく。
「俺達も行くで!」
鎌山、立家も攻撃するり鎌山の鎌によって巨大な鎌鼬を、立家の爪で巨大な雷撃を起こした。
「終わりや、スターリン!!」
「貴方!死なないで!」
スターリンとは異なるまた別の女性の声が聞こえた。
「おお、来たか、エカチェリーナ!!」
(エカチェリーナ・・・?)
ありは援軍が来たかと思い煩わしく思った。
後書き
次回は・・・
「鉄と羽衣の攻防」
スターリンと交戦するあり達の元にエカチェリーナという女が現れる。だが、無神論者であるというスターリンにはありのカムイの攻撃は通用しない。そのような状況で、エカチェリーナがその場にいる皆を抹殺しようと攻撃する。そんな状況で、奏子の羽衣が戦いを左右させる・・・!!
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