冠婚葬祭が好きな理由
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第一章
冠婚葬祭が好きな理由
吉田有香は冠婚葬祭に参加することが好きだ、ただし葬式の時は流石にしんみりしているが他の時はだ。
「早く行きましょう」
「おい、まだ時間あるぞ」
夫の裕一郎は有香にこう返した、彼はスーツで有香はもう奇麗にドレスで着飾りメイクも整えている。
「そんなに急ぐことないだろ」
「何言ってるの、今日は絵里ちゃんの結婚式でしょ」
有香は自分の従妹の名前を出して言った。
「それならね」
「早いうちに行ってか」
「絵里ちゃんの花嫁姿見ないと」
顎がすっきりした白い顔で言う、目は明るく若々しく大きい。眉は細く長く赤い大きな口で赤がかった髪の毛は癖があり胸まである。背は一六三センチ位で見事なスタイルを白いドレスで包んでいる。
「駄目でしょ」
「ただ式に参加するだけじゃないんだな」
「そうよ」
黒髪で吊り目できりっとした眉で細面で自分より十五センチは高い痩せた夫に言った。
「お祝いの言葉によ」
「プレゼントにか」
「色々あるからね」
「早いうちに行くんだな」
「そう、それに万が一遅れたら」
その場合もだ、有香は話した。
「駄目だしね」
「念の為にもだな」
「こうした時は早いうちに行かないと」
「そういうことだな」
「あなただってお仕事は早いうちに行ってるじゃない」
証券会社で働いている彼に言った。
「そうでしょ」
「遅刻しないで落ち着いてな」
「出勤してよね」
「事前にその日の仕事の準備もするしな」
「そうよ、じゃあね」
「今からか」
「行きましょう」
夫の手を引く様にだ、有香はいそいそとだった。
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