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X ーthe another storyー

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第五話 神剣その十七

「若しかしたらだけれど」
「あの辺りはわからんな」
「ええ、どうしてその人が丁様と敵対しているかもわからないけれど」
「色々と謎があるな」
「そうね、よかったら丁様にね」
 他ならぬ彼女にというのだ。
「お話を聞きたいわね」
「ああ、妹さんと何があってな」
「敵対しているか」
「そのこともな」
「何かわからなくなってきました」 
 護刃は今の自分の頭の中を率直に述べた。
「地の龍の人達のことが」
「そうね、けれど少しでも理解する為にも」
 嵐はその護刃に話した。
「一旦ね」
「はい、丁様のところにですね」
「戻りましょう」
「神威さんを丁様に紹介する為にも」
「そうしましょう」
「案内してくれ」
 神威も切実な声で言ってきた。
「もう俺もだ」
「運命を避けないのね」
「まだ天の龍になるとは決められないが」
 嵐に応えて話した。
「しかしだ」
「それでもなのね」
「俺はもう運命から逃げない」 
 今度は強い声で言った。
「おじさんみたいな人を二度と出したくないからな」
「だからなのね」
「そうする、だからな」
「今から」
「封真には用事が出来たと言っておく」 
 その『用事』の具体的なことは言わないがというのだ。
「そのうえでだ」
「私達と一緒になのね」
「あんた達の言う姫様とやらと会わせてくれ」
「わかったわ、ではね」
「ああ、今からな」
「案内するわ」
 嵐は神威に答えた。
「それでは」
「ではな」
「神威、安心するんや」 
 空汰は決意した神威に真剣な顔と声で言った。
「お前はわいが守る」
「そうしてくれるんだな」
「背中は任せるんや」 
 こうも言うのだった。
「例えどんな奴が来てもや」
「守ってくれるか」
「そうするさかいな」
 だからだというのだ。
「安心するんや」
「わかった、信じさせてもらう」
「私も神威さんと一緒にいますね」
 護刃も言ってきた。
「神威さんとはお友達になりましたから」
「友達か」
「はい」
 神威に笑顔で答えた。
「ですから」
「そう言ってくれるか」
「犬鬼と一緒に」
 今も傍にいる彼も見て話した。
「そうしますね」
「犬鬼か。いい犬だな」 
 神威も彼を見て言った。
「最初から思っていたが」
「やっぱり犬鬼が見えるんですね」
「見える?見えなくなるのか」
「いえ、犬鬼が見える人はです」
 彼の頭を撫でつつ話した。
「力のある人なんですよ」
「そうなのか」
「霊的なものが」
「なら俺にはか」
「確かにありますね」 
 こう神威に話した。
「そしてそれがあるということは」
「俺が天の龍か地の龍か、か」
「どちらになるかということですね」
「そしてお前達としてはか」
「天の龍を選んで欲しいです」
「そういうことか」
「はい、じゃあ」
 護刃は神威にここでも微笑んで話した。
「一緒に行きましょう」
「そこまでだな」
「今から」
 護刃が言ってだった。
 四人でその場に向かった、神威は今運命と向かいはじめたがそのことを覚悟と共に自覚しつつ足を進めた。


第五話   完


                    2022・11・23 
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