| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

風当り

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                風当り
 柳本咲が登校するとだ。
 クラスメイト達は彼女を見た、その視線を浴びつつだ。
 咲は自分の席に着いたがクラスメイト達は彼女に言ってきた。
「言いたいことわかるよな」
「お前のことじゃないけれどな」
「巨人じゃないからいいにしても」
「全部わかってる限り普通の獲得だしな」
「いや、うちの補強のこと言われても」
 咲はクラスメイト達に目を座らせて答えた。
「咲としてもね」
「まあそうだよな」
「言われてもどうしようもないな」
「そうだよな」
「かといってチームに苦情言わないでね」
 咲はこうも言った。
「流石にね」
「ああ、言わないよ」
「わかってる限り汚いことしてないからな」
「それじゃあ言わないよ」
「このことは安心しろ」
「わかってる限りなのが引っ掛かるけれど」
 それでもとだ、咲は考える顔になって言った。
「正直うちのオーナーってね」
「色々言われてるね」 
 クラスメイトの一人桐生高広が言ってきた。
「あの人は」
「そうだしね」
「いや、流石にね」
 それでもとだ、高広は言った。
「巨人みたいなことはね」
「あの人もしてないわね」
「色々言われてる人でも」
 このことは事実だがというのだ。
「そうしたことはね」
「しないのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「大丈夫だよ」
「ちゃんと自由契約になってからの獲得で」
「オスナさんとガンケルさんはね」
「いいのね」
「まあ正直言ってな」
 野茂友也が言ってきた、彼もクラスメイトである。
「ガンケルさん退団はな」
「阪神にとっては痛いのね」
「ああ、どうもな。けれどな」
 それでもと言うのだった。
「ソフトバンクで活躍してくれたらな」
「いいのね」
「宜しくな」
「まあね、嶺井さんもね」
 やはりクラスメイトの北乃明日夢は複雑な顔で話した。
「こうなるってね」
「思ってたの」
「というか第二捕手だったけれど」
 その選手はというのだ。
「獲得したっていうのは」
「うちは甲斐さんに続く第二捕手がね」
「欲しかったからよね」
「ベテランでリードヤキャッチングの上手な」
 そうしたとだ、咲は話した。
「そうした人がね」
「欲しくて」
「獲得したのよ」
「見てるわね、鷹さん」
 かなり正直にだ、明日夢は言った。
「本当に」
「そのことで定評があるチームなのはね」
「あんたも嬉しいところね」
「ええ、けれどあんたとしては」
「嶺井さんに活躍して欲しいわ」 
 こう言うのだった。
「本当にね」
「そうなのね」
「FAで出られたのは寂しいけれど」
 それでもというのだ。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧