超絶補強を見て

「どんどん弱くなって駄目になる」
「そんなチームでね」
「本当にな」
　まさにというのだ。
「それでいいんだよ」
「私もそう思うわ」
「巨人の補強は汚い補強だよ」
　寿はこの世の絶対野摂理を口にした、邪悪の権化でありこの世を乱す巨人の補強が奇麗な筈がないのだ。
「それでもな」
「ソフトバンクの補強はね」
「奇麗な補強だよ、それ以上に」
　寿は言った。
「阪神の補強はな」
「奇麗だって言うのね」
「だから金本さん新井さんもな」
　この二人が阪神に来たこともというのだ。
「奇麗な補強だよ」
「それ巨人ファンが言ったら切れてたから」
　千佳の返答は冷めたものだった。
「阪神だからまだね」
「聞けるか」
「ムッとするけれどね」
　それでもというのだ。
「まだ聞けるわ」
「そうなんだな」
「兎に角ね」
　千佳はさらに言った。
「巨人の補強は汚い補強」
「そうだよな」
「そしてそればかりしてきてね」
「今の有様があるんだ」
「ざまあ見ろね」
「ああ、それで巨人はな」
　この悪辣極まるチームはというと。
「もうな」
「どうでもいいのね」
「ああ、だからな」　
　それでというのだ。
「巨人は置いておいてな」
「そのうえで」
「ペナントを見ていくからな、僕は」
「私もよ、しかしお兄ちゃんとお話してると」　
　千佳は自然と笑みになっていた、それで言った。
「ソフトバンクが出て来ても」
「パリーグを制覇してな」
「それでもね」
「シリーズ勝つか」
「まず阪神に勝ってね」
「それは僕の台詞だ、十月岡田監督日本一の胴上げだ」
「新井監督の胴上げよ、ソフトバンクを倒すのはカープよ」
　兄妹で笑いながら話した、そして。
　ここで母にご飯が出来たと言われた、すると兄妹で母と一緒に夕食の用意をした。そのうえで一緒に食べるのだった。


超絶補強を見て　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・１・２７