夢幻水滸伝
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第二百七十八話 他州掌握へその十二
「モンゴメリーとや」
「マリーメイア様とは」
「中立でや」
それでというのだ。
「ええわ」
「では」
「カナダとはな」
この国の統一を進めているモンゴメリーそれにマリーメイアと、というのだ。メルヴィルは官吏にさらに話していった。
「暫くはな」
「中立で」
「それでな」
「それでは」
「正直カナダはカナダや」
メルヴィルはこうも言った。
「起きた世界ではアメリカ建国当初カナダも併合しようってな」
「あの国をですか」
「そんな考えもあったらしいけどな」
「カナダもですか」
「そや、北米をな」
この地域全体をというのだ。
「そうした考えもあったんや」
「それはまた大胆ですね」
「わし等が起きた世界はこっちの世界の五分の一位の面積でや」
メルヴィルは官吏にこのことも話した。
「浮島もないけどな」
「広いことは広いですね」
「その広いカナダもな」
この国もというのだ。
「そう考えていたんや」
「まことに大胆です」
官吏はまたこう言った。
「若しそれが実現していたら」
「ああ、アメリカはな」
「今より遥かに広大な領土を持っていましたね」
「西に進みはじめた時点で持ってたさかいな」
この考えをというのだ。
「かなりのもんやな」
「全くです」
官吏が見てもだった。
「私もそう思います」
「ほんまにな」
「しかも太平洋岸まで、ですね」
「勿論掌握するつもりやった」
「左様ですね」
「起きた世界ではそうしたところはかつてメキシコ領やったけどな」
テキサス等もそうだった、メキシコは米墨戦争でアメリカに敗れた結果カルフォルニア等その領土の五分の二を失っているのだ。
「こっちの世界ではちゃうしな」
「最初からアメリカです」
「そやからメキシコのルルともな」
この国の星の者である彼とも、というのだ。
「別にわだかまりなくな」
「やっていけますね」
「実際起きた世界やと仲良しやしな」
そうだというのだ。
「そうなんですね」
「ああ、それでな起きた世界のアメリカはな」
あらためてこの国の話をした。
「太平洋を目指しつつな」
「カナダまで、ですか」
「狙ってたんや」
「凄いですね」
「建国当初でそやったからな」
「恐ろしいものがありますね」
「最初から戦略立ててたんや」
アメリカという国はというのだ。
「太平洋まで達して」
「そしてカナダもですか」
「結局カナダは併合せんかったけどな」
だからこそこの国は起きた世界で今も存在しているのだ、尚アメリカとカナダは同じ英語圏だが違う部分も多い。
「それでもな」
「そうした考えを持っていた」
「凄いことやろ」
「はい、まことに」
官吏は真顔で頷いた。
「そこまでとは」
「それでわしもな」
「今の時点で、ですか」
「アメリカの統一をな」
これをというのだ。
「考えてるが」
「起きた世界のアメリカのことがですか」
「やっぱり頭の中にありますか」
「ああ、先の先を見てな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「ことを進めていきますね」
「そうしてくわ」
こう言ってだった。
メルヴィルは二つの会談の準備を進めさせた、それも政であった。
第二百七十八話 完
2022・10・15
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