夢幻水滸伝
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第二百七十五話 洋食を食べつつその八
「そっちもな」
「助かってるな」
「あの子は外交やとな」
「まさに天才やな」
「争わずエレガントに進めてな」
「見事に収めてくれるな」
「サプールの中のサプールとしてな」
シェリルはこうも言った。
「お陰で欧州それにアラブとも関係は良好でや」
「エカチェーリナちゃん達の三星枢軸ともな」
「今は中立でいられてる」
「やがて戦うことは確実にしても」
「今は穏やかに過ごせてるやろ」
「ああ」
まさにとだ、中里は答えた。
「有り難いことにな」
「外交はほんまあいつやな」
「優れた外務大臣や」
「ほんまにな」
「戦には絶対に反対するけれどね」
アレンカールは牡蠣フライを食べながら笑って話した。
「あの子は」
「サプールやからか」
「そうよ、サプールは争わないのよ」
「それが信条やな」
「絶対のね」
まさにというのだ。
「そのうえでお洒落をしてね」
「エレガントに振舞うんやったな」
「争ったらサプールやないのよ」
それが彼等だというのだ。
「こっちの世界でもよ」
「サプールはおってやな」
「そうした考えなのよ」
「平和を愛する紳士やな」
「そういうことよ」
「そえであいつもか」
中里はコロッケを食べつつ頷く様にして応えた。
「成程な」
「それが彼等の信条だからよ」
「僕等が枢軸や欧州と争う時は」
「彼は出来るだけ平和的な解決を求めてね」
そうしてというのだ。
「戦にはよ」
「反対するな」
「実は一連の覇者を決める戦もよ」
彼等がそれぞれの移動要塞と全軍を動員して行ったそれが行われた時もというのだ。
「彼最後までね」
「反対してたんやな」
「避けられないとわかっていてもね」
戦がというのだ。
「それでもよ」
「反対してたか」
「そうよ」
そうだったというのだ。
「これがね」
「そやってんな」
「そやからね」
「外務大臣としてやな」
「彼は戦には反対するわよ」
「サプールとしてやな」
「何があってもね」
「まあそれはしゃあないわ」
芥川は参謀総長軍務大臣である中里と共に軍を動かす立場として言った、十星連合ではこの二つの役職が重要なのだ。
「あいつの信条はな」
「認めてくれるのね」
「それしかないやろ、しかし認めてもな」
「戦をするしかないと」
「多数決でや」
これでというのだ。
「決めるわ」
「そうするわね」
「こうした多数決やろ」
これで決めるべきだというのだ。
「一人が反対して没やったらな」
「国益を損ねるわね」
「人は色々な考えがあるんや」
中里はソーセージを食べつつ述べた。
「そこで一人が反対してや」
「全体の政が損なわれたら本末転倒や」
リーはワインを飲んでから冷静な声で述べた。
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