夢幻水滸伝
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第二百七十五話 洋食を食べつつその二
「食べたことあるから言えるわ」
「そうよね」
「それで洋食自体がやね」
綾乃はワインを飲み続けつつ言った、相変わらず水の様に飲んでいる。
「他の国にはないんやね」
「ナポリタンとかな」
シェリルは芥川が食べているこのスパゲティの話をした。
「ないで」
「そやね」
「ハンバーグも海老フライも豚カツもな」
「どれもやね」
「ないで」
他の国にはというのだ。
「ほんまにな」
「そやね」
「ハヤシライスかてな」
シェリルはこの料理の話もした。
「日本のお料理やで」
「そうやねんね」
「フランスかと思うやろ」
「うち子供の頃実際に思ってたわ」
綾乃はコロッケを食べつつ答えた。
「ほんまに」
「それが違ってな」
「あっちそもそもお米主食やないし」
「日本に欧州のお料理が入って」
明治維新の頃にだ、文明開化の波に乗ってそうなったのだ。
「それで独自の進化したんやで」
「そやね」
「それが日本の洋食で」
「日本のお料理のジャンルの一つやね」
「そやで」
「ほんま他にないで」
トウェインはロールキャベツを食べつつ言った。
「他の国には」
「他の国にありそうでない」
メルヴィルもビーフシチューを食べながら話した。
「このビーフシチューかてな」
「日本風やな」
「他の国のとはちょっとちゃうわ」
メルヴィルはシチューを飲みつつトウェインに応えた。
「シチュー自体は他の国にあっても」
「それでもな」
「まあ洋食は日本のものやってことやな」
芥川はカニクリームコロッケを食べながら神妙な顔で述べた。
「日本で独自の進化を果たした」
「そやな」
中里は芥川のその言葉に頷いた。
「明治からのな」
「そやな、ケチャップやソースをよお使った」
調味料としてと、というのだ。
「そうしたな」
「日本のお料理や」
「そやな」
「それで飲むなら」
「ワインかビールやな」
「こうしてな」
「いや、ほんま合うわ」
綾乃はワインも水の様に飲み続けている、表情も変わっていない。
「洋食もええね」
「そやな、しかし綾乃ちゃんほんまザルやな」
トウェインも見て言う。
「幾らでも飲めるんやな」
「こっちの世界でもやね」
「ああ、ほんまの酒豪やな」
「日本酒が一番好きやけど」
それでもとだ、グラスの赤ワインを一気に空けてから言った。
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