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ヘタリア大帝国

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TURN50 セーシェル星域にてその四

「それに対するにはです」
「我々はまだ不十分ですね」
「艦艇の質では」
「数でも質でも劣っていますね」
「それでどうして勝つか」
 日本は強い目になり話していく。
「それが今の課題です」
「やはり正面からぶつかって勝てる相手ではありませんね」
「間違いなく」
「では今回も」
「思い切った作戦を執る必要があります」
 必然的にそうなることだった。今回もまた。
「ではその時は」
「お任せ下さいますか」
「お願いします」
 日本はエルミーの顔を見て言った。戦いはもう次の局面に目がいっていた。ガメリカとの決戦も間近だった。
 太平洋軍はセーシェルに入った。己の乗艦の艦橋にいるフランスはモニターに映る彼等を見てこう呟いた。
「こりゃまずいな」
「まずいとは」
 モニターにシャルロットが出て来て言ってきた。見ればオフランス軍の軍服を着ている。その紺色の制服をだ。
「どういうことでしょうか」
「いや、こっちはやる気がないしな」
 オフランス軍は平和主義であるが故に今も士気が低かった。
「艦の質だってな」
「それもですね」
「ああ、いいのは全部本国にあったからな」
 その本国が見事に陥落しているのだ。つまり今ここにあるのは植民地で叛乱が起こった場合の抑止力程度の質の艦艇だけなのだ。
「ましてマジノ線なんてな」
「とてもですね」
「あんな凄い防衛ラインもないからな」
「ではこの戦いは」
「まずいな」 
 実に率直な言葉だった。
「それもかなりな」
「そうなのですか」
「司令は勝てるって思ってるけれどな」
 ビジーはだというのだ。
「けれど正直なところな」
「勝つことはですか」
「ああ、難しいな」
 現実派そうだというのだ。
「しかもここで負けたらな」
「もう、ですね」
「マダガスカルも守ることはできないな」  
 そうなってしまうというのだ。
「ここに展開してるのが今のうちの戦力だからな」
「それでは」
「まあなあ。降伏するしかないだろうな」
 フランスは右手を頭の後ろにやって掻く動作をしながら言った。
「ここで負けたらな」
「そうですか」
「まあ。負けるのは慣れてるさ」
 フランスはやや自嘲を込めて言った。
「今の戦争だけじゃないからな、負けてるのは」
「先の戦争でもですか」
「あの戦争でもドクツにやられっぱなしだったしな」
 とかく結構な戦力がいても何故か負けが多いフランスだった。これは歴史的においてもかなりのものだった。
「ナポレオンでも最後は、だったからな」
「そうですね。伊勢志摩に対しても」
「あとオーストリアともな」
 この国との戦争も多かったがそれもだった。
「負けてる方が多いからな」
「しかしですね」
「あれだよ。最後勝った方にいればいいんだよ」
 自嘲めかした言葉はそのままだった。
「じゃあいざとなったらな」
「降伏ですか」
「イギリスのところに逃げてもいいんだけれどな」
 この選択肢もあるにはあった。 
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