夢幻水滸伝
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第二百七十話 晴れた時にはその十
「そうなってるわ」
「左様ですね」
「しかし礼儀をわきまえてな」
そうしていてというのだ。
「そのうえで軍律を守ってるとな」
「それだけでちゃいます」
「そやからな」
「戦闘中の食事もですね」
「それは守らせる、ほなな」
「麺もですね」
「少しだけ残すで」
一片だけでもというのだ。
「麺なり具なりをな」
「それでは」
巴は羅の言葉に頷いた、そして実際に具を少しだけ残し他の者達もそうした。
食事の後また戦うが戦場は相変わらずの大雨だった。
その大雨で川の様になった地面を見て王は言った。
「足場がさらに悪くなって」
「困りますね」
「戦いにくいです」
「最早泥どころではありません」
「川です」
王が今率いている将兵達も言ってきた。
「この状況では」
「お水に強い種族でないとです」
「満足に戦えません」
「戦えることは戦えますが」
「しかし」
「容易やない、しかしな」
それでもとだ、王は将兵達に話した。
「それでもや」
「戦うしかないですね」
「今はそうですね」
「では、ですね」
「このままですね」
「戦ってくで、我慢してな」
さらに悪くなった足場にもというのだ。
「ええな」
「わかりました」
「そうしていきましょう」
「そうしたことは我慢して」
「そのうえで」
「こうした時に靴がしっかりしてるとな」
見れば結構な丈だ、ブーツと言っていい位の中華風の軍服である。全ての将兵達がそれを履いて戦っている。
「有り難いな」
「その分泥も防げます」
「足が濡れないで済みます」
「足が濡れても身体が冷えますし」
「また衛生的にもよくないですね」
「そや、種族にもよるが水虫にもなるしな」
この心配もあるというのだ。
「水虫も馬鹿に出来ん」
「左様ですね」
「水虫は治りにくいです」
「タムシ等もそうですが」
「厄介です」
「薬はあるが」
この世界にはいい薬が普通の医学だけでなく錬金術も応用されて開発製造されている。そして術でも治せる。
「しかしな」
「それでもです」
「やはり一度なると治りにくく」
「常に痒いですし」
「栄養が足りていないと危険ですね」
「あまり酷いと足を切らなあかん場合もある」
水虫で栄養失調の状態になると、というのだ。
「最悪な」
「その様ですね」
「日本の漫画家さんでそうなりかけた人がおられるそうですね」
「王様達の起きられた世界で」
「そう聞いていまうが」
「手塚治虫さんやね」
紅美が言ってきた。
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