夢幻水滸伝
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第二百六十六話 決戦を選択その九
「中国各地の料理がな」
「集まったな」
施も応えた。
「今ここに」
「そやな、俗に四大料理というが」
中国ではだ、このことはこの世界でも同じである。
「その実はな」
「四大どころやないわ」
「そやな」
「そやからな」
「こうしてそれが一度に集まるとな」
「それだけでちゃうな」
「食材も色々やしな」
見ればまさにそうであった。
「肉に野菜に」
「卵に魚にな」
「お豆腐もあってな」
「茸もある」
「まさに毒のあるもの以外は全部あるわ」
「四本足のものは机や椅子以外全部食べる」
残が言ってきた。
「空を飛ぶものは飛行機以外、水のものは船以外」
「植物は毒のあるもの以外や」
羅は上機嫌な感じで続いた。
「そして虫もや」
「食べますね」
「それが中国人や」
「この世界でもそれは同じです」
「二本足のもんもな」
「人以外はですね」
「人を言うとな」
所謂カニバリズムだ、この世界でも存在していることだ。
「中国が言われるが」
「他の国でもありますさかい」
「飢餓状態になってな」
「それが深刻になったりです」
「薬になるとかな」
「肉や血、内臓ですね」
莫が応えた。
「そうしたものが」
「魯迅の話もあったな」
「薬ですね」
この作家の代表作の一つである、処刑された革命家の血を結核の薬として饅頭に浸して食べるという話だ。
「血を飲むのは」
「欧州でもあったな」
「朝処刑された囚人の血を飲む」
「強壮剤としてな」
「それがありましたね」
「他にもそうした話がな」
カニバリズムの話がというのだ。
「あちこちにあるさかい」
「人以外と言うべきですね」
「そや、この話は洒落ならん」
羅はこうも言った。
「ほんまにな」
「言い出しますと」
「色々な国である」
「ほんまに」
「そやから二本足のもんはな」
「人以外ですね」
「そう言うことや、というか人を食うたら」
そうした行為を行えばというのだ。
「後でな」
「あるそうですね」
金が応えた。
「クールー病ですか」
「それになってな」
「あかんそうですね」
「というかそれやったらハールマンになるわ」
フリッツ=ハールマンのことだ、ワイマール期のドイツで次々と人を食い殺した狂気のシリアルキラーである。
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