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大阪の目目連

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第三章

「この近くのホテルにも」
「あったよ」
 検索していて今見付けたという言葉だった。
「ちゃんとね」
「あるのね」
「ええと、西区か」
 大阪市の行政区画ではというのだ。
「そのホテルは」
「あっ、そっちになるの」
「ここ中央区だけれどさ」
 自分達が今いる戎橋の商店街はというのだ。
「これがちょっと行ったら」
「西区ね」
「それで浪速区になって」
 それこそ歩いて行ける位の距離である。
「自転車で西成からもだよ」
「誓一郎君がいるね」
「簡単に行けるから」
「案外近いわね」
「難波から他の場所は」
「そうなのね」
「それでなんだよな」 
 あらためて言うのだった。
「そのホテルも」
「西区にあるのね」
「中央区じゃなくてな」
「そうなのね」
「だからさ」
 それでと言うのだった。
「西区にあるそのホテルに行けば」
「和風のお部屋になのね」
「入って」
 そしてというのだ。
「休めるよ」
「つまり楽しめるのね」
「人込みを避けてな」
 そのうえでというのだ。
「出来るよ」
「それじゃあ」
「うん、今からね」
「行きましょう」
 こう話してだった。
 二人で一緒に西区、戎橋の方から歩いてすぐに行けるその区にあるホテルに入った。そうするとだった。
 フロントにだ、部屋の値段を言われて二人共仰天した。
「えっ、千円!?」
「フリータイムで!?」
「カラオケレベルなんですが」
「嘘ですよね」
「いや、嘘じゃないんですよ」 
 若い大学生と思われるアルバイトのホテルの従業員はこう答えた。
「これが」
「いや、幾ら何でも」
 誓一郎は従業員に言った。
「それはないですよ」
「何かあります?」
 結衣は安いには理由があると考えて問うた。
「この安さは」
「はい、あります」
 従業員は即答で応じた。
「これが」
「やっぱりそうですか」
「実は出るんですよ」
 こう言うのだった。
「これが」
「出るんですか」
「はい、そうなんですよ」
「幽霊ですか?」 
 誓一郎は眉を顰めさせて尋ねた。
「怨霊だったら他の部屋をお願いします」
「あっ、幽霊ではないです」 
 従業員はそれは否定した。
「流石に怨霊とかは洒落になってないんで」
「ないですかl
「出たら一時でも閉鎖して」
 そうしてというのだ。
「それでお祓いします」
「そうですよね」
「そうしたお話もありますけれどね」
 こうしたホテルにはというのだ。 
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