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声優の兄弟

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第一章

                声優の兄弟
 アイドル声優として知られている山下萠子のブログやツイッターにはよく同居していると書いてある、それでだった。
 高校生で声優ファンとして知られている須郷信彦黒い髪の毛を奇麗に整え大きなはっきりした目と細い眉を持つ一七〇程の背と丸目の顔を持つ彼はクラスで小学校から一緒に松岡隆介に言った。松岡は一八〇近い背で黒髪をスポーツ刈りにしていて長方形の顔と太い眉を持っている。
「なあ、山下萌子さんってな」
「お前の好きな声優さんだな」
「ああ、あの人のブログやツイッターチェックしてるとな」
「最近インスタもやってるらしいな」
「ああ、何かやたらとな」
 自分の前の席に座ってこちらに身体を向けている彼に話した。
「お兄さんがな」
「出ているんだな」
「ああ、しかしな」  
 ここで須郷はこう言った。
「プロフィール見たらな」
「どうなんだ」
「それがな」
 須郷は松岡に答えた。
「妹さんがいるってな」
「あるんだな」
「三人姉妹の長女さんらしい」
「おかしいぞ」
 その話を聞いてだ、松岡も言った。
「三人姉妹の長女さんならな」
「ご兄弟はな」
「おられないな」
「そうだよな」
「プロフィールにミスがあるのか?」
 松岡は首を傾げさせた。
「それじゃあ」
「そうか?やっぱり」
「こういうのってな」
 どうしてもというのだ。
「間違いとかあるからな」
「よくあるよな」
「たまに所属事務所までな」
 声優にとっては極めて重要である、事務所が仕事を持って来てくれてそのうえでファンレターも事務所宛てに届くからだ。
「違うからな」
「そうだよな」
「だからな」
「プロフィールのこともか」
「間違いじゃないか?」
「どのプロフィール見てもそうだけれどな」
 須郷は首を傾げさせて言った。
「間違いか」
「そうだろ」
「そうか、何か先週の日曜なんてな」
 須郷は松岡に話した。
「お兄さんと一緒に旅行行ったそうだぞ」
「そうなのか」
「ああ、山梨まで葡萄狩りでな」
 山梨と言えば葡萄だがというのだ。
「行ったらしいな、ブログの画像だってな」
「どうだったんだ?」
「生足全開のミニスカでサンダル姿でな」
「あの人小柄だけれどスタイルいいしな」
 胸が大きいことで知られている、茶色にした髪の毛を長く伸ばし色白で垂れ目の童顔で可愛い感じの外見で有名だ。
「それはいいな」
「何枚も画像載せてくれていてな」
 それでというのだ。
「コメント滅茶苦茶多かったよ」
「お前も書いたか」
「ああ、楽しそうですねってな」
 その様にというのだ。
「書いたよ」
「相変わらずマナーは守ってるな」
「ちゃんとな、それでな」
 須郷は笑顔で話した。 
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